冥途と言えば

エピソード文字数 641文字

 「公務中にお酒はだめでしょ。最近できたいいところがありますよ。」
 便通の中から、聞き覚えのある声がした。
 雪女のやつ、こんなとこにもくっついてきていた。まったく、金の匂いに敏感なやつだ。

 最近あいつがここで始めた店がある。酒が飲めないコタツたちを連れて入れる、コタツメイドカフェ。メイドさんとコタツを囲んでお茶をするという。コタツの話題で大いに盛り上がるという。

 おれたち下級霊には縁の無いところだ。そんなところへ出入りしていたら、あやしいクスリでもやってるんじゃないかと、逮捕されかねない。あの世に来ても、差別はあるものだ。とくに戒名による差別はひどい。
 下級霊の信士はほとんど相手にされない。上級霊の院号がついた年寄りは居士を見下している。因業ジジイというやつだ。

 「そろそろ車開発も考え時だな。」
 上級霊のやつらは、どんな因縁をつけるかわかったものじゃない。走る狂鬼になる前に、手を引いたほうがよさそうだ。
 「次は大量輸送だな。乗客は飲み放題というサービスをしているところもある。暴飲愚者。絶対安全な、ロープ一本でできる乗り物。バスに乗ったつもりになれる、エア・バス。以前は、駆け出しの物書き、いわゆる一発ライターが乗っていた無料の零銭(ぜろせん)なんてのがあったな。速さを売りにした、飛ばすも人気がある。陸上は競合他社が多い。儲けるには庶民よりも上級霊を相手にしたほうが得だ。ならば、三途の川の豪華客船の旅。ただ、問題はエコ仕様になるかどうかだ。」
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登場人物紹介

主人公

地獄で入獄拒否され残りの人生を霊として過ごす

主人公を保護観察する死神

雪女。

居酒屋雪ん子の女将。

死神の知り合い。

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