ワクチン

文字数 501文字

 土管型コロ菜は、ゆでると毒性が消える。しかし、ゆですぎるとコカまで消えてしまう。そこで、ゆですぎ防止のタイマーを作った。

 「タイマー所持法違反。」
 閻魔庁からお叱りを食らった。地獄には時間に追われるような生活は不要だというのだ。とりあえず初犯ということで不起訴になった。

 さて、どうしたものか。そこで、水からゆで始めて、お湯がわいたことを知らせる警報装置を申請した。無駄なゆですぎを減らすことができてエコだとの評価を得た。
 さっそく開発に取り掛かったが、コロ菜の育成時期によって茹で上がりが変わるという。 「一刻も早く。」
 といわれても、安全性も大事だ。タイミングを誤れば、ボコボコと噴く作用が現れる。WHO(沸いた、噴いた、落ちた)指針にあわせた開発は困難を極めた。警報の鈴の音も不愉快なものであってはならない。数多くの鬼を対象に鈴鐘試験(りんしょうしけん)も行なった。

 そうして、ようやく販売にこぎつけた。お湯が沸くと鈴の音がチンと鳴る。
 「ワクチン」
 沸いてからつけたのでは遅い。事前に準備段階から取り付けるように指導した。
 こうして、コロ菜さわぎはようやく収まった。
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登場人物紹介

主人公

地獄で入獄拒否され残りの人生を霊として過ごす

主人公を保護観察する死神

雪女。

居酒屋雪ん子の女将。

死神の知り合い。

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