第59話 函館の旅・DAY2-②

文字数 895文字

 午前中の北大散策を終え、お昼過ぎに函館行きの北斗に乗り込みました。

 車内はガラガラ。午後便はこんなに空いていたのかと唖然とした。当初の予定は駅弁買って旅気分のつもりだったが、私たちのお腹は昼を過ぎてもビュッフェ朝食のおかげで満腹だった。それでも4時間弱の移動中に口淋しくなるかもと、柳月の『鮭ぶし丸』と『月ふわり』、どんぐりの『ちくわパン』を購入。

 車窓もずっとは見ていられない。夫は前の座席裏に差し込まれていたパンフレットの地図に見入っていた。

「ねえ、みどりの窓口のお姉さん、確か海側の席を取ってくれたよね?こっちに進んでいるということは、今、山側に座ってんじゃない?」

そうかも……お姉さん、海側がいいって力説してくれてたのに……しばらくして車掌さんがやってきた。夫はすかさず

「こっちの席って海側ですか?」

と訊いた上、しばし会話。とても人の良さげで勘のいい車掌さんは

「海が見えたら、移動してもらっていいですよ。席は函館まで空いてますから」

 まあ、車内を見渡せば分かることだったが、お墨付きをもらった。途中、登別や苫小牧の駅に停車。知名度のわりに普通の駅で少々驚いた。海沿いは想像以上に際を走り、絶景。天気が良かったのも幸いだった。北斗に乗る前のゴタゴタを挽回したような快適な列車旅だった。

 函館駅はターミナルにふさわしく綺麗で大きい。2日目の宿はラビスタ函館ベイ。海沿いを真っ直ぐ歩けば15分ほどで着くはずだと分かっていたが、着いた直ぐは何処が海沿いかが分からず、方向に戸惑っていたら夫が

「ねぇ、どっち行くの?」

と少しイラつく声で訊いてきた。『迷っているのが分からんのかボケ!』と心で叫ぶ。こんな言い方や横柄な態度は慣れている。だから絶対に自分で解決する術を身につけてきた私。駅前の地図、Googleマップ、人の流れを見てスタスタと歩き始め、無事到着。

 時刻は午後4時半。チェックインもできるはず。そう思ってフロントに向かって唖然とした。人、人、人の長蛇の列。フロアから溢れて最後尾が何処か分からなかった。

 この光景を見て一瞬、北斗の午前便に乗るべきだったとの後悔が襲ってきました。


 
 

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