第1話 次の手

文字数 842文字

 昨日も夫と出かけました。

 冷戦状態だった夫婦の環境を変えるべく提案した長野の旅。(どうもこうも・第41〜48)冷戦は20年以上だったから、行く前はダメ元のような博打のような気持ちだった。ところが予想に反した、結果オーライは私の自信に繋がった。夫がどう思っているかは知る由もなし。

 私の住む地域でも、そろそろ梅雨入りの気配。雨が続けば出掛けるのも億劫になるだろう。それだけではない。若いころよりも車の運転だって気をつけなければならない。諸々の意味で外出から遠ざかる。だから梅雨入り前に夫との外出を、もうひと押ししたくて

「明日、天気良さそうだから犬山城に行きたい」

と言ってみた。

「分かった」(低い声でボソッと)

 なぜ、犬山城なのか。答えは簡単。先日行った松本城、続いての松江城。たまたま国宝の城が続いた。国宝は全部で5つ。じゃあ、この際全部巡ろうではないかと思っただけ。日帰りドライブ出来そうなのが、犬山城だった。

 OKが出たところから、スケジュールを立てた。旅好きの私にとって日帰りの、しかも国内のスケジュールはなんでもないこと。もちろん観光は城だけではつまらない。出発と到着と滞在時間を考えて周辺施設を付け足す。昨日のコースはこんな感じ。

朝食を食べずに早朝出発モーニング発祥の地とされる一宮市の喫茶店『茶音 姫』で朝食犬山城三光稲荷神社犬山城下町食べ歩き有楽園ノリタケの森で夕食

 盛りだくさんのように見えるかもしれないが、意外とゆったり出来た。三光稲荷神社はハートの絵馬で有名だが、私たち夫婦が注目したのは『銭洗い』と『おもかる石』だった。気になる人は検索。夫は願いを込めておもかる石を持ち上げた。

「重い。願いは叶わんわ」

いつになく大きな声で、はしゃいだ。何を願ったんだろう?そこで聞けないのが冷戦状態だった名残。一度にたくさん進む気はない。出会ったころのように、ひとつひとつ味わっていこうと思う。

 帰りの車中では、ハイブリッドカーの良し悪しをテーマに会話が弾みました。


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