第9話 なるほどね

文字数 893文字

 今朝もラジオを聴きながら身支度しました。

 私の情報はテレビよりもラジオの方が多い。随分前から家事のお供になっている。始まりは夫との会話が出来なくなった辺りから。まだ子どもたちが小さかったころで、私が愚痴を聞いてほしかった夫は、いつの間にか愚痴の対象にになり、私はストレスのはけ口を探した。聞き役になってくれたのが同じ年のKさんとYさん。今でも頭が上がらないし、足を向けて寝られない。とは言え、毎日お付き合いしていただくわけにもいかず、そのイライラを和ませてくれたのがラジオだった。今では大事な情報源だ。

 早朝の番組で、結婚生活を長続きさせるコツという話題があった。ポイントは3つ。

○一緒に食事をする

○恥じらいを持つ

○程よい距離を置く

『もう食事を作らなくていいから』と夫に言われても、喜んではいけないらしい。単純に料理が要らないわけではなく、妻との接触が要らないということのようだ。ウチは晩御飯だけは一緒に食べている。朝御飯を用意しなくなったきっかけは、私の入院。夫が自分で用意するルーティンが自然に出来た。昼御飯は退職してからの話になるが、家に居たり居なかったりで時間が定まらなかったこともあり、話し合うこともなく、自然に好きな時間に好きな物を食べるようになった。じゃあ晩御飯は?と言うと夫は何処に外出していても、会社員時代の帰宅時間と同じくらいに帰宅するので、止めることなく今も料理を作る。ただ、食事中の会話はほとんど無いが。

 夫婦と言えども親しき仲にも礼儀ありらしい。夫の前でのオナラやゲップ、そして全裸はご法度。幸いどれも私はやっていない。

 夫婦間の距離においては、自慢できるほどの距離を保っている。それはこの30年ほどで培われた冷戦のおかげとも言える。若いころは相手の動向をやたらと把握したがった。またそれが夫婦だと思っていた。ダメダメそれじゃあ。息がつまる。でもその失敗があってこその今。最近は離しすぎた距離を縮める努力を始めた。

 私たち夫婦が別れずにいられる答えを、まとめてくれた今朝のラジオだった。

 とは言え、お互いの忍耐力が無ければここまで来られなかったと思いますが。
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