第23話 無事終了⑥

文字数 926文字

 奈良旅の最終回です。

 奈良の最後は、長谷寺へ。牡丹で有名な寺だが、訪れた日はところどころに紫陽花が咲いていた。拝観の栞を見ると、年間を通して季節の花を楽しめるようだ。ココも室生寺同様、境内が広い。室生寺で既に体力を使っていた筈だが3人とも元気だった。

『今のうちに、いろいろな場所に行っておきたいな……』

 少し前までは一人旅で全国を回ろうと思っていたが、最近は夫に声をかけるのも悪くないと思い始めている。

 長い階段の登廊(のぼりろう)は、先を見ただけで疲れそうな場所だったが、段差がちょうど良く意外とすんなりと登ることが出来た。本堂の十一面観世音菩薩は10m余りの巨像。願いを込めながら、足に触れることが出来る。もちろんやった。備え付けの薄紙を充てながら触れるというのは、おそらくコロナ禍ならではだろう。観世音菩薩の傍に座す雨宝童子(うほうどうじ)の姿は、Tさんと私の一押し。すごく愛らしい。訪れる時にはぜひぜひチェック。

 長谷寺も室生寺と同じく境内はアップダウンがある。途中、同世代くらいの僧侶に追い抜かされ、みるみるうちに見えなくなる姿は、何だかカッコ良かった。

 3時間ほどかけて拝観した長谷寺を出たのが15時過ぎ。最後の最後の目的地は帰路の途中にある三重県の『まつもとのトンテキ』
晩御飯のつもりでチョイスした。予定では17時の開店と同時に入店のつもりだったが、少し過ぎた。この少しが待つこと1時間以上に。ネットで調べたときに分かってはいたが、こんなにも待たされるとは。 店の外は順番待ちの若者で溢れかえっていた。その中にアラ還3人。たぶん最高齢。夫が

「順番が近くなったら呼ぶから、その辺ブラブラしたら」

とナイスフォロー。Tさんと私は道沿いの見たこともない地元スーパーに入り、三重県ならでは?の品々を見て回った。全て見終わったころ、夫から連絡が。店内は感染予防の為に席の間隔が空いていた。出て来たトンテキは、分厚いロース肉を焼いたもの。ボリュームはあったが完食。夫はご飯をおかわりした。Tさんが言った

「自分の歯じゃなきゃ、食べられないね。今日来られて良かった」

 確かに。旅もグルメも体力がなければ楽しめないなとしみじみ思った。

 今回の旅も夫と仲良く?いや、何事も無く行けました。
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