第14話 選挙

文字数 849文字

 ドキドキしました。

 7月8日の午前中、安倍元総理が狙撃された。一報を聴いたのはラジオ。直ぐにテレビをつけた。どの局も一斉にニュースモードになっている。しばらくテレビを流したままにし、動向を見守った。刻一刻と新しい情報が入り、どんどん詳細が分かる。岸田首相が会見を開いた。鼻を何度もすすりながら応じていた。人柄を感じた。

 私は事件が起きる2時間ほど前、奈良の西大寺辺りの観光情報を調べていた。そのときは西大寺という寺があることも知らず、セイダイジと読んでいた。その読み方を偶然にも安倍さんの事件で

ダイジと教えられ、あまりの偶然にドキドキしたというわけ。

 ここ数年の投票は、期日前にしている。実は昨日の午後投票してきたばかりだ。今までの選挙は個人の公約をあまり見ず、政党名だけで判断することが多かった。だが今回の選挙は、公約内容を全て読んだ上で臨んだ。もちろん候補者の名前も政党名もしっかりと決めて投じた1票だ。

 10年ほど前に自治会長をやった年は、選挙の当たり年で複数回あった。私の町では自治会が選挙のお手伝いをする。役所の人から指示を仰ぎ、数名の自治会委員と応募で決めた一般の人とで投票所の仕事をする。私は立場上、全ての選挙に立ち合った。

 投票所の朝は早い。私が担当した場所は小学校の体育館に設けられている。投票開始の1時間ほど前に準備を始めた。そして7時の時報とともに開場。まず1番最初の有権者に投票箱が空かどうかを確認してもらう。自治会長をやっていなければ、一生お目にかからないであろう光景。
 
 他に裏方の準備もあった。投票時間中、それぞれの係は何度か交代する。その休憩所のセッティングも私の仕事だった。机、椅子、暑い季節には扇風機、そしてお弁当などの手配。人数分の弁当を何にするか、何処で頼むかも全てやった。ある選挙のお昼は、私の一押しの弁当にした。

「あ、こんな美味しい空心菜の炒め物食べたことがない。美味いなコレ」

その一言が、1番の思い出だ。

 安倍さんの早期ご回復をお祈りいたします。
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