第３５話　録画断捨離

　少しの間テレビにシフトします。

　iPadが壊れたせいで、YouTubeが見れなくなった。スマホはあるが、動画など見ようものなら契約している制限を軽く越える。定年退職した夫と暮らす私には出来ないことだ。もっと平たく言えば、通信料の支払いは夫名義なので、直ぐバレる。

　まあ、良いタイミングだったと捉えよう。テレビで録画された番組が早く見てくれと唸っている。ハードディスクは残り６%。

『何とか見なくちゃ』

　義務のように頭をもたげる。いの一番は去年の大河ドラマ『晴天を衝け』
今年の『鎌倉殿の13人』は、次回が待ち遠しいくらい欠かさず見ているのに、去年は途中で棒を折った。理由は話の展開にワクワクしなくなったから。それでも録画を残しているのは、次の１万円札の顔だから。渋沢栄一さん、ハッキリ言って未だピンとこない。とは言え聖徳太子、福沢諭吉に肩を並べるのだから日本人として詳しく知っておくべきだろう。

　次に片付けるのはドキュメンタリー。私の中でジャンルに順番をつけるなら１番。だから作品が多いNHKは常にチェック。中でも『72時間』はダントツ。先日、10年間分の作品のベスト10を放送していた。もちろん録画。一度は見ているけど。印象に残っている作品がいくつ入ったか確認したくて録画。ベスト3は昨日見たかのように覚えているものだった。少し嬉しい。

　第３位に選ばれた『海が見える老人ホーム』は私の中では第１位の作品。神奈川の油壺にある巨大老人ホームを撮ったものだ。以前の放送後、直ぐに施設の詳細を調べ愕然とした。お、お高い……
今回の放送は、撮影に登場した人たちのその後が付け加えられていた。何人かは亡くなり、ご存命の人も歳を重ねた風貌になっていた。MCの鈴木おさむさんのコメントに共感。

「歳を重ねた生き方もいいと信じたいじゃないですか。整った環境の中で過ごしていても『やっぱり若い方が楽しいわよ』と言った女性のリアルな言葉は、ピシャッと言ってくれた感じで嬉しかったですよ」

　まだ自由に動けるこの身体で、人生を楽しみたいと思う。

　見ることが義務にならないように、人生の貴重な時間を使います。