第54話 函館の旅・準備編3
文字数 868文字
夫と言い争いをした私は、身支度をしてコッソリ家を抜け出しました。
午前11時。とにかく夫と同じ場所に居たくなかった私は最寄駅に向かっていた。沼津にいる友人に洗いざらい聞いてもらおうという気持ちばかりが頭の中をグルグル駆け巡った。
『今、ひま?遊びに行ってもいいかな?』
そうLINEすると直ぐに返事が。
『ひまだよー。突然だけど、何かあった?』
夫と喧嘩した内容を伝えると
『子どもの喧嘩みたいね。アナタもご主人も』
と一蹴された。少しカチンときたが、何故か我に返った気がした。LINEのやり取りをしている間も私は立ち止まることなく、新幹線の駅へと向かっていた。地下鉄に乗っている間もLINEのやり取りは続いた。
『今から来てもいいけど、泊まる?こっちに着いたら午後4時だよ。日帰りじゃ話す時間もありゃしない。どうする?』
友人の現実的な言葉に、私は更に冷静さを取り戻した。ああ、名古屋から沼津って、そんなに遠かったっけ。以前、行って分かっていた筈だったのに、そんな判断も出来ないまま、私は名古屋駅まで来てしまった。
『ごめん。醒めたわ。呑んで帰る』
『それがいいよ。また、おいでー』
ある程度の怒りが収まったら急にお腹が空いてきたので、とりあえず名物のきしめんを旅行者のような気分で食べた。呑む時間にはまだまだ早い。新幹線代が浮いたから、その分何かに使ってやろうかと思った。私は買物でうさを晴らすことをするタイプではないが、今回そういう人の気持ちが少しだけ分かった気がした。デパートや地下街をグルグル歩き回った。こんな時は奮発して、お高めの服かバッグでも。そう思って探した。結局、私が買った物は来年のカレンダーとユニクロのインナー。ショボいショボ過ぎる。自分の大きさを知った。
足が疲れ果てたころ、フランス料理の店の前にハッピアワーの看板を見つけて入った。シーフードのおつまみとビールでひと息。メニューに目をやり、料理とワインを追加して怒りをフェードアウトさせ帰路についた。
夫は私が帰宅した時、すでに消灯していました。翌朝は普段通りに振舞いました。
午前11時。とにかく夫と同じ場所に居たくなかった私は最寄駅に向かっていた。沼津にいる友人に洗いざらい聞いてもらおうという気持ちばかりが頭の中をグルグル駆け巡った。
『今、ひま?遊びに行ってもいいかな?』
そうLINEすると直ぐに返事が。
『ひまだよー。突然だけど、何かあった?』
夫と喧嘩した内容を伝えると
『子どもの喧嘩みたいね。アナタもご主人も』
と一蹴された。少しカチンときたが、何故か我に返った気がした。LINEのやり取りをしている間も私は立ち止まることなく、新幹線の駅へと向かっていた。地下鉄に乗っている間もLINEのやり取りは続いた。
『今から来てもいいけど、泊まる?こっちに着いたら午後4時だよ。日帰りじゃ話す時間もありゃしない。どうする?』
友人の現実的な言葉に、私は更に冷静さを取り戻した。ああ、名古屋から沼津って、そんなに遠かったっけ。以前、行って分かっていた筈だったのに、そんな判断も出来ないまま、私は名古屋駅まで来てしまった。
『ごめん。醒めたわ。呑んで帰る』
『それがいいよ。また、おいでー』
ある程度の怒りが収まったら急にお腹が空いてきたので、とりあえず名物のきしめんを旅行者のような気分で食べた。呑む時間にはまだまだ早い。新幹線代が浮いたから、その分何かに使ってやろうかと思った。私は買物でうさを晴らすことをするタイプではないが、今回そういう人の気持ちが少しだけ分かった気がした。デパートや地下街をグルグル歩き回った。こんな時は奮発して、お高めの服かバッグでも。そう思って探した。結局、私が買った物は来年のカレンダーとユニクロのインナー。ショボいショボ過ぎる。自分の大きさを知った。
足が疲れ果てたころ、フランス料理の店の前にハッピアワーの看板を見つけて入った。シーフードのおつまみとビールでひと息。メニューに目をやり、料理とワインを追加して怒りをフェードアウトさせ帰路についた。
夫は私が帰宅した時、すでに消灯していました。翌朝は普段通りに振舞いました。