第27話 いつの間にかルール

文字数 862文字

 みんなはどうかなぁ。ウチの場合はこんな感じです。

 私が普段居るのは2階のリビング。夫は1階の自室。酷暑の夏は、さほど動いていないのに汗がジワジワ。たまらずシャワーを浴びに浴室へ。するとタンタンタンタン……と夫が軽快な足取りで階段を上ってくる音がした。その後リビング横にある冷蔵庫の開閉音が。しばらくそこに居て、私がリビングに戻るころに、その姿はない。喧嘩してる?いやいや。夫はずっと前からこんな感じ。

 他にも。ウチは朝昼ご飯はセルフ。つまり夫は自分で用意して食べる。材料は自分で買ってきたり、冷蔵庫の物を使ったりといろいろだが、最近のお気に入りはトーストした全粒粉の食パンにハム、チーズ、レタス、トマトを挟んで食べるサンドイッチ。たぶん飽きるまで食べると思う。その前は、ずっとポテトサラダを挟んでいた。食べる場所は調理台の前が多い。私がキッチンに行くと、スーッとリビングのテーブルへ移動する。つまり夫のパーソナルスペースが私の侵入を拒否る。

 食べている姿を見られるのが嫌なのかどうかは知らないが、とにかく私たち夫婦が顔突き合わせてという場面は晩御飯のみ。だから会話もほとんどしない。ずっと私の投稿を読んでいる人なら察しがつくと思うが、この状態が出来上がったのは、長い冷戦時代があったから。最近になってやっと終結した感はあるが、長い時間に築かれたお互いの行動は、一朝一夕には変えられない。おそらくこのまま最期までいく気がする。

 冷戦中は、この非接触な行動が私の怒りを買い、悲嘆にくれさせた。不思議なもので今は何と心地いいスペースなのかと満足この上ない。ここまできて、やっと夫の良さを認識し始めた。と言うか夫の性格を受け入れることが出来始めた。

 事情を知らない友人たちは

「いいなぁ。晩御飯だけ作ればいいんでしょ。どうやったら出来るの?」

 友人に見せているのはごくごく一部。あんなこと、こんなこと、悲しい思いをいっぱい経験した上での今なのだ。

 今の状況がいつまで続くか分かりませんが、とりあえず今を楽しく味わおうと思っています。
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