第25話 抜歯

文字数 920文字

 今日の投稿は症状や治療の様子が含まれます。無理な人は読まないでくださいね。

 定期検診ではない。今日は治療で歯医者へ。ついにと言うか、とうとうと言うか。(だま)(だま)し使っていた左下奥から2番目の歯に限界がきた。遡ること3年前、歯茎が時々腫れた。歯槽膿漏のような感じではなく、1本の歯の歯茎だけ。その歯は若いころに治療されている。先生が言った。

「あー、コレ、歯の中が割れているかも……」

「割れていたらどうなるんですか?」

 と私。抜くしかないと。歯の痛みは全く無かったので、しばらく様子を見ようと言うことになった。しっかり噛めたが、歯茎が腫れては引く症状は治らなかった。3ヶ月に1度の検診では必ずこの歯の痛みを訊かれ、痛みが無ければと歯は治療せず、歯茎の腫れを取ってもらっていた。ところが、ここ2ヶ月ほど、歯茎の腫れが全く引かず歯茎に痛みが出てきた。

『歯が痛くないのに、歯茎のために抜くなんて……」

 それもこれも小さいころからのツケ。私の歯磨きは、いい加減だった。歯医者へ定期的に通うようになったのも、子どもたちの検診のついでから。ここ数年は被せ物が外れたくらいで、虫歯の治療を受けたことがないくらい順調だったのに……加齢もあるのかな?

 少し前の検診で、おそらく悪化しているだろう歯茎の違和感を先生に伝えた。抜歯が決まった。そして今日。

 外側の歯茎に注射を打つための麻酔が塗られた。続いて外側、内側の歯茎に注射。麻酔は効き始めていたが、注射針が刺さる痛みはあった。しばらく待機。頭の中で

『半世紀以上も働いてくれてありがとう』

と自分の歯に感謝した。淋しい気持ちになった。

『歯は一生の財産』

 幼いころから母に言われ続けた。教えを活かせなかった自分が不甲斐なかった。

 麻酔が効いた歯は、先生に触れられても分からないくらいになった。手術開始。痛くは無いが圧力を感じた。先生の手が止まった。

「ありあゆさん、少し休憩。リラックスして」

 私の緊張が先生に伝わったようだった。その後は淡々と進み、終了。痛み止めと抗生剤が処方された。抜いたままにしておくわけにはいかない。しばらくは検診ではなく治療で歯医者に通う。

 8020、80歳で20本。急に身近に感じてきました。







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