第37話 複雑な思い

文字数 871文字

 先日、幼なじみ2人とランチに行きました。

 TさんとUさん。きっかけは私がテレビで見たお店に行ってみたいと話を持ちかけたことから。最初に決めた日は、お店が臨時休業でボツ。3週間ほど空けて、ようやくの訪問。

 Tさんと私は、Uさんとの待ち合わせ場所へ一緒に行くことになった。まず私が車でTさんの家まで。そこからはTさんが運転して行くつもりでいた。

ピーンポーン♪

Tさんとご主人が出てこられた。ご主人が

「Tはちょっと風邪気味で、良くなったから行くって言うんだけど……」

と言った。私は咄嗟に

「無理しなくてもいいのに……」

と言った。この言葉には2つの意味がある。先ずはTさんの身体を心配して。もう1つは、うつされたら困るなと自分の心配。

「昨日、微熱があって喉が少し痛かったんだけど、クーラーが効きすぎていたみたいで……でも今朝になったら、だいぶ治ったから」

とTさん。私は少し、ほんの少し腹が立った。コロナの症状に近い。それなのに行く選択をしたのかと。だが『行きたい』と誘ったのは私。1度目はボツになり、やっと迎えた2度目の機会をTさんは自分のせいで延期にするのを悪いと気遣ってくれたとも考えられる。冷静に判断したかったのに、落ち着けなかった。

 もう1つ。車の運転を体調を理由に私に代わってほしいと言った。また心が(ざわ)ついた。車の運転が嫌な訳じゃない。その理由が嫌だった。

『無理しなくてもいいのに』

心とは裏腹に返事は

「いいよ!」

 モヤモヤした。病み上がりと自覚した人を何故連れて行かねばならないんだ。運転中、Tさんが『大丈夫と判断したから来れたんだ』としきりに言った。でも私の頭の中はモヤモヤが消えなかった。

 30分ほど運転してUさんと合流。Tさんも私も病み上がりの話をUさんにしなかった。しめし合わせた訳じゃなく、話しても私同様にモヤモヤするだけだと思ったから。

 何が悪い?そんなのコロナが悪いに決まってる。こんなに幼なじみの行動を疑い、腹を立てる自分が情けなく嫌になった。みんな、コロナのせいだ。早く終息してくれ!

 私は思いやりがなく、身勝手でしょうか?
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