第16話 心持ち

文字数 864文字

 失ってから初めてその大きさに気付く事ってありますよね。

 昨日は安倍元総理の告別式。銃弾に倒れた翌日から銃撃現場に献花する人が絶えなかった。現役総理では無いけれど、ときに批判を浴びることもあったけれど、歴代最長だった証は単に記録だけのことではなく、多くの日本人が認知していた人物ということではなかったか。

 昨日、引き出しの整理をしていて出てきた『安倍のマスク』当時はいろいろな言われ方をしたが、今となっては捨てる気になれない。私も少なからず安倍さんの死が悲しかったと気付かされる。テレビで見た永田町界隈を通り過ぎる安倍さんの霊柩車は、通行規制が成された道を、ゆっくり、堂々と沿道の人々に挨拶するかのような速度で走っていた。

 このサイトの投稿に、安倍さんがピアノを弾く動画を紹介した作品がある。暗譜で指先を見ながら弾いた曲は、ピアノを弾けない私からすれば『凄いな』のひと言。弾き終わったコメントで

「ピアノは小学校1年生までやっていました」

とあったが、いやいや基礎が出来ていたなんて、お世辞にも言えない年齢ではないか。だが、ちゃんとしたメロディーだった(失礼)『いつ練習していたの?』単純に寸暇を惜しんで取り組んだ姿勢を見た気がした。弾いている姿に涙が出た。私は生前の安倍さんを支持するとか、しないとかと言えるほど、政治に関心が無いが、この言いようのない喪失感は私が日本人であることを自覚した気がする。

 2つ前の投稿で奈良の西大寺(さいだいじ)の読み方を事件で知ったことに触れたが、実はこの週末に奈良を訪れる予定がある。目的は観光ではなく、友人に会うため。もう20年ほど会っていない会社の同僚。似たような歳なので、もちろんアラ還。安倍さんも60代だった。平均寿命を思えば、まだまだ生きる年齢だ。でも、誰の人生も一寸先は闇。突然この世を去っても後悔しない自信はあるか?やっておきたいことを『いつかやろう』と後回しにしていないか?そんな気持ちが数年前から私の原動になり、この事件で核になった。

 20年以上経った友人の姿は如何に。楽しみで仕方ないです。
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