その④
文字数 1,475文字
「…そうだな」
それを破ったのは、綹羅だった。
「もし俺が二人に何かしちまったんなら、後で謝ればいいだけのことだ。何も今ここで嘆く意味はない! 今はやるべきことをするだけだ! 環、おかげで目が覚めたぜ!」
後ろをもう一度振り返って、親指を立てる。
「こ、コイツ! 罪悪感を跳ね返しただと? あり得ん! 確かに負に染まりつつあったはずだ! 暗黒面に堕ちるまでは完全に時間の問題だったはず…!」
「そうか、サン? 俺は悪者にはならないぜ! でもここでお前を逃がすのは、絶対になしだ!」
「こ…この…!」
綹羅は構えた。遅れてサンも動いた。
「勝負だ、サン! そして俺はお前に勝つ!」
「ま、負けるものか! この私が!」
この戦いの最後の攻防が始まる。サンはプラズマを次々と撃ち込む。それを綹羅が避ける。
「自分の体に葉を? どういうことだ?」
さっきと同じように綹羅は光合成をさせエネルギーを得ながら動いた。しかしそれをサンに見られたのだ。
「そうか! 植物は光をエネルギーに変換できる。それであんな動きを可能としているのだな…カラクリがわかったぞ!」
一方の綹羅には、見破られても余裕があった。サンよりも速く動いて一撃を与えて勝負を決める。それさえできればいいのだから。
サンはプラズマを生み出したが、すぐには撃たない。チャージすることも可能で、その場合には威力とスピードが跳ねあがる。
(綹羅は近づいて、また私の体に植物を生やすつもりだ。そこを撃つ! 絶対に近づかないといけないんだ、その時が最大のチャンス…!)
そして、彼女の思惑通りに綹羅は蛇行しながら徐々に距離を詰める。もちろんサンの手元のプラズマに十分注意を払っている。
綹羅が急に素早く駆けた。もう勝負を決めるつもりなのだ。
「も、もらったあああああああ!」
これが最大のチャンス。サンは雄叫びと共にチャージしたプラズマを撃ち出した。昼間なのに太陽よりも眩しい光が、その場を包み込んだ。
「どうだ、綹羅! お前は私には絶対に勝てん! それを今証明した……?」
ここで、サンは気づく。焼き払ったのは樹木だ。それも綹羅の体型そっくりな形。
「ば、馬鹿な? まさか入れ替わった? だがそんな暇はなかったはず…。私が見間違えたのか? いいやそれもあり得ない!」
少し焦ったが、彼女は小さなプラズマを撃ち出す。見失っても自動追尾できるので、これで綹羅の場所を特定するのだ。
そのプラズマは、サンが顔を向けた方向とは真逆に動く。
「後ろ…だと?」
振り向いたその瞬間、既に綹羅の拳が眼前に迫っていた。
綹羅は樹木を成長させると同時に、自分の体を飛ばしてサンの後ろに回り込んでいたのだ。プラズマは植物で受け止めることはできないが、それが放つ光で光合成を行うことは可能だった。嬉しい誤算だ。サンがチャージしたために、今まで以上に光合成ができ、綹羅も樹木もより速く、そして強く動けたのである。
「おらりゃああああああ!」
決まった。今の拳は完全にサンの意識を顔面ごと殴り抜いた。今も光合成をさせているので、パワーは少しも落ちていない、凄まじい一撃。
「…………っ」
吹っ飛んで地面に落ちたサンは、動かない。完全に沈黙。
「よ、よし!」
綹羅はガッツポーズをした。
「た、倒したぞ…! 『惑星機巧軍』のリーダーを!」
環も立ち上がって綹羅のもとに駆け寄り、
「やったね、綹羅!」
と言って彼の体を抱きしめた。
それを破ったのは、綹羅だった。
「もし俺が二人に何かしちまったんなら、後で謝ればいいだけのことだ。何も今ここで嘆く意味はない! 今はやるべきことをするだけだ! 環、おかげで目が覚めたぜ!」
後ろをもう一度振り返って、親指を立てる。
「こ、コイツ! 罪悪感を跳ね返しただと? あり得ん! 確かに負に染まりつつあったはずだ! 暗黒面に堕ちるまでは完全に時間の問題だったはず…!」
「そうか、サン? 俺は悪者にはならないぜ! でもここでお前を逃がすのは、絶対になしだ!」
「こ…この…!」
綹羅は構えた。遅れてサンも動いた。
「勝負だ、サン! そして俺はお前に勝つ!」
「ま、負けるものか! この私が!」
この戦いの最後の攻防が始まる。サンはプラズマを次々と撃ち込む。それを綹羅が避ける。
「自分の体に葉を? どういうことだ?」
さっきと同じように綹羅は光合成をさせエネルギーを得ながら動いた。しかしそれをサンに見られたのだ。
「そうか! 植物は光をエネルギーに変換できる。それであんな動きを可能としているのだな…カラクリがわかったぞ!」
一方の綹羅には、見破られても余裕があった。サンよりも速く動いて一撃を与えて勝負を決める。それさえできればいいのだから。
サンはプラズマを生み出したが、すぐには撃たない。チャージすることも可能で、その場合には威力とスピードが跳ねあがる。
(綹羅は近づいて、また私の体に植物を生やすつもりだ。そこを撃つ! 絶対に近づかないといけないんだ、その時が最大のチャンス…!)
そして、彼女の思惑通りに綹羅は蛇行しながら徐々に距離を詰める。もちろんサンの手元のプラズマに十分注意を払っている。
綹羅が急に素早く駆けた。もう勝負を決めるつもりなのだ。
「も、もらったあああああああ!」
これが最大のチャンス。サンは雄叫びと共にチャージしたプラズマを撃ち出した。昼間なのに太陽よりも眩しい光が、その場を包み込んだ。
「どうだ、綹羅! お前は私には絶対に勝てん! それを今証明した……?」
ここで、サンは気づく。焼き払ったのは樹木だ。それも綹羅の体型そっくりな形。
「ば、馬鹿な? まさか入れ替わった? だがそんな暇はなかったはず…。私が見間違えたのか? いいやそれもあり得ない!」
少し焦ったが、彼女は小さなプラズマを撃ち出す。見失っても自動追尾できるので、これで綹羅の場所を特定するのだ。
そのプラズマは、サンが顔を向けた方向とは真逆に動く。
「後ろ…だと?」
振り向いたその瞬間、既に綹羅の拳が眼前に迫っていた。
綹羅は樹木を成長させると同時に、自分の体を飛ばしてサンの後ろに回り込んでいたのだ。プラズマは植物で受け止めることはできないが、それが放つ光で光合成を行うことは可能だった。嬉しい誤算だ。サンがチャージしたために、今まで以上に光合成ができ、綹羅も樹木もより速く、そして強く動けたのである。
「おらりゃああああああ!」
決まった。今の拳は完全にサンの意識を顔面ごと殴り抜いた。今も光合成をさせているので、パワーは少しも落ちていない、凄まじい一撃。
「…………っ」
吹っ飛んで地面に落ちたサンは、動かない。完全に沈黙。
「よ、よし!」
綹羅はガッツポーズをした。
「た、倒したぞ…! 『惑星機巧軍』のリーダーを!」
環も立ち上がって綹羅のもとに駆け寄り、
「やったね、綹羅!」
と言って彼の体を抱きしめた。