念力とペンギンの奇妙な夜勤

文字数 1,274文字

「また残業か…」と独り言を呟く。僕の机の上は、常に未来技術の研究報告で山積みだ。
 しかし、この日はいつもと違った。ふと視線を上げると、彼がそこにいた。彼、と言っても人間ではない。僕の目の前にいるのは一羽のペンギン。どうしてこんな場所にペンギンが? マジックなのかな、それとも僕の頭がおかしくなったのか。

「おいちょっと待てよ。君はどこから来たんだ?」僕が尋ねるが、ペンギンは返答するはずもなく、ただキョロキョロと辺りを見回すだけだった。

 その時、僕はふと思い出した。新しい実験――念力の実験。このペンギンは…まさか。

「もしかして、君は僕の念力で…?」そっとペンギンに手を差し伸べてみると、ペンギンはすぐに僕の手の中に跳び込んできた。なんとも言えないほどの温もりが伝わる。これが本当の力か、念力か。

「うーん、君のことは後で考えよう。今はこの報告書に集中しないと…」と僕は呟き、ペンギンを横に置いて作業に戻る。しかし、ペンギンが僕の手元をじっと見つめているのが気になって、何も手につかない。ああこれは、また残業が長引く予感がする。

 突然、ペンギンが「クェック、クェック」と鳴き始める。おかしいな、僕の言葉がわかるのか?それとも単に、寂しいのかな。

「君、名前はあるの? 何か呼びやすい名前をつけようか」僕がそう言うと、ペンギンは頷くように首を縦に振った。これは驚きだ。僕の言葉、理解してる?

「じゃあ、"ピコ"って呼ぶよ。いいかな?」と僕が提案すると、ピコは嬉しそうに鳴いた。

 その夜、僕とピコはたくさんの時間を共にした。ピコは僕の念力を使って軽く浮かぶこともできたし、時には僕の肩に飛び乗ってきた。仕事は進まないけれど、こんなにも心が温まる残業は初めてだ。

 だが、夜が更けるにつれ、ピコの様子がおかしくなった。元気がなくなり、羽を震わせ始める。僕は焦りだした。このペンギン、本当に大丈夫か? 念力の実験が原因で、ピコが何かしらの影響を受けてしまったのか?

「大丈夫か、ピコ?」僕がそっと声をかけると、ピコは弱々しく鳴いた。

 何をすればいいか分からない。だけど、僕には念力がある。何かできるはず。そうだ、温かい何かを感じさせてあげよう。僕は目を閉じ、心からの温かさをピコに送ることに集中した。

 しばらくして目を開けると、ピコの様子が明らかに変わっていた。元気を取り戻したようで、再び「クェック、クェック」と鳴き始める。僕はホッと一息ついた。

「よかった…。大丈夫そうだね、ピコ」

 その夜、僕たちは互いに心からの絆を感じながら、残業を続けた。念力とペンギンとの奇妙な出会いが、僕にとって忘れられない思い出となった。

 そして、夜が明ける頃、僕はふと気付いた。自分の中に眠る未知の力と、心の豊かさを。ピコが教えてくれたのだ。外の空は明るく、新しい一日が始まろうとしていた。

「ねえ、ピコ。今日も一緒に頑張ろうか」

 そして、僕たちは新しい日を迎える準備をした。これからも、この奇妙な残業を共にすることになりそうだ。


(使用AI:GPT-4 Turbo)


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