ファンタズマ・フェアリー・ファイル

文字数 1,053文字

 霧が立ち込める夜の街を歩く私は、夢の中を歩いているかのようだった。ネオンの灯りが湿った路地裏を幻想的に照らしている。

 そんな中、ひとりの少女が私の横を過ぎ去っていく。ふとしたことから視線が合い、彼女は私に小さく微笑みかけた。

 その笑顔に、私は思わずぎくりとした。少女の瞳は、まるで妖精のように無邪気で澄んでいたからだ。周りとはまるで違う異質な世界の住人のようにさえ感じられた。

「あの、すみません」
 私は勇気を振り絞り、声をかけた。すると少女はまた微笑みながら、やや妖しげな仕草で私に視線を向けた。

「なぜわたしに声をかけるの?」

「いえ、その...あなたの瞳が、とても神秘的で...」

「ふふ、それは当然よ。わたしは人間とは異なる者なのだから」
 少女はさらに微笑を深めながら言った。
「え...?」

「ねえ、わたしの正体、見当はつくかしら」
 私には少女の言葉の意味が分からず、ただ戸惑うばかりだった。すると少女は私の前で軽やかに踊りながら、目の覚めるような美しい歌声を上げ始めた。

 ~♪~Nec spe nec metu(希望も恐れもなく)~♪

 その独特の響きに、私は心を奪われてしまった。そしてひとたび歌が終わると、少女の姿が見えなくなっていた。

「な、なにが!?

 目を疑いながらも、私は夢のような体験を味わったことを実感していた。そして、今しがた少女が立っていた場所に落ちている、透明な水晶の欠片に気がついた。

 私がそれを拾い上げると、突然水晶から(まばゆ)い一筋の光が放たれた。その光が指し示す先を追っていくと、対岸の高層ビルの一室が異様な暗闇に包まれているのが見えた。

 なぜだかこれは事件で、しかも妖精が関わっているのは間違いないと直感した私は、早速その場所に向かうことにした。

 するとそこから、怪しげな物音が聞こえてくるのだ。
「助けて...誰か!」
 おそらく人質が捕らわれているのだろう。

 私は警察への通報を最優先させ、適切な行動を起こすよう努めた。

 その一件は無事解決し、後日、私は協力者として警察から感謝状を受け取った。一方で、あの少女の正体については永遠の謎と化してしまった。

 しかし私は、きっとあれは人知を超えた存在だったのだと信じている。現実とは思えない体験だったが、だからこそ一生心に残る不思議な出来事となったのだ。

 大人になってから、時に現実は非日常的な出来事に彩られているのだと実感する。そしてそんな奇跡的な出会いへと導かれることで、人生は更なる深みを増すのかもしれない。


(使用AI:Claude 3 Sonnet)


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