理不尽!

文字数 2,911文字

「こんなに暑いのに、なんでこんなに早く出勤しなきゃいけないんだ」

 ジュンコは眉をしかめながら、汗だくの体をオフィスビルのエレベーターに乗せた。朝8時からの会議に間に合うように、いつもより1時間も早く自宅を出たのだが、すでに蒸し暑い空気に体力を奪われつつある。

「会議なんてさっさと終わってくれればいいのに……」

 ジュンコが所属する部署では、最近「課金」という新しい業務が導入された。商品を利用する客に対して、月額の利用料を請求するというものだ。しかし実際には、課金業務を行う以外にも、営業や事務作業など、従来からの業務が減ることはなかった。むしろ増える一方だ。

 そのため、ジュンコを含む部下たちの残業が増え、疲弊しきっていた。そんな中で上司はさらなる業務効率化を求め、今朝の会議で新たな方針を示すという。ジュンコは嫌な予感がした。

 エレベーターが上階に着くと、パッと開いたドアから冷房の効いた空気が流れ込んできた。
「あぁ、さすがにここなら大丈夫か」

 ほっとした表情でエレベーターを出ると、ジュンコの上司である部長の姿が目に飛び込んできた。やけに真剣な表情をした部長は、ジュンコを見るなり「おはよう。ちょうどいいところだ」と声をかけてきた。

「え、はい……」
「今の内に準備をしておいてくれ。会議が始まるまでにデータをまとめ直してほしい」
「データ……?」

「うん。これからの課金業務の改善点について、きちんと整理した上で報告してほしい」
「ええっ!? 今からですか!?
 思わず大きな声が出てしまう。

「当然だろう。会議が始まるまでにできるだろ? 準備していなかったのか?」
「いえ、そうじゃないんですけど……」
「じゃあ問題ないだろ。期待しているぞ」
 そう言うと、部長は息巻いて会議室へと歩き去った。

「ちょっと待ってください! いつも通りの報告じゃダメなんですか!?
 ジュンコが必死で訴えかけるが、もう部長の後ろ姿は遠ざかっていた。

「はぁ……」

 ジュンコはガックリと肩を落とす。朝早くからの出勤が全く意味がなかった。むしろ状況は思ったよりひどい。
 それまでの課金業務報告とはまるで違う切り口でのデータ作成を求められているのだ。しかも残りわずかな時間で。

「無理だよぉ……」
 ジュンコは呆然とした表情のまま、自分のデスクに向かった。

 ジュンコは重い身体をデスクに落とした。目の前には山のように積み上がった業務文書とデータがある。

「えーと、どこから手をつけたらいいんだろう」
 まずは部長からの指示通り、課金業務の改善点を整理しなければならない。しかしそもそも課金業務自体が新しく、手探り状態なのだ。改善点など見当もつかない。

「頭が真っ白だよぉ……」
 ジュンコはわけのわからない怒りを感じる。理不尽極まりない部長の指示に、胃の奥がへんに痛んだ。
「なんで私がこんな目に...」
 そう呟いていると、ジュンコの携帯が鳴った。LINEの着信音だ。
「あ、マネージャーからかな」

 画面を見ると、上司であるマネージャーからのメッセージが表示される。
『ジュンコ、大丈夫? 部長がいきなりデータ要求しただって?』
 マネージャーはジュンコと同期の社員だ。仕事上の指示命令は部長から来るが、実際の業務支援はマネージャーが行う。ジュンコが困っていることを察知したようだ。

『大丈夫ですか? 無理な指示でしたよね。私が部長に直談判しますから』
 ジュンコはマネージャーのフォローに少しほっとした。しかしそれに甘えることもできない。会議まで残り30分。必死でデータ作成に取りかかるしかないのだ。
 そう決めて作業を始めたものの、熱気と疲労が脳みそを蝕み、集中力が保てない。

「これじゃ無理だわ……」
 ジュンコはあきらめかけていた。
 しかし、その時だった。近くの席から甘い香りが漂ってきた。振り返ると、同僚の奈央が微笑みながらコーヒーを差し出していた。

「がんばって。私も協力するから」
「奈央……」
 心強い言葉に、ジュンコは涙がこぼれそうになるのを必死でこらえた。

 ジュンコは奈央の差し出したコーヒーを受け取り、一気に飲み干した。ほろ苦い温かさが喉を通り抜け、身体の芯から力が入ってくるようだった。

「奈央、本当にありがとう。助かる」
「いいのよ。一緒にデータ作成できる範囲で協力するから。頑張ろうね」
 奈央の明るい声に、ジュンコも前向きな気持ちになれた。
 2人でパソコンに向かい、データの作成に励む。奈央が下支えとなり、作業のペースが上がっていく。

「うまくいきそうね。大丈夫です」
「ええ、これなら間に合いそう。本当に助かってる」
 順調に進んでいるかに思えたその時、ジュンコの携帯が再び鳴った。着信を確認すると、今度は部長からのメールが入っている。

『ジュンコ、資料の作成状況は? もう会議が始まるが、間に合っているか?』
「はぁ!? もう会議が!?
 思わず大声が出る。時計を見ると、確かに会議開始時刻を回っている。

「ごめん奈央、会議に遅刻しちゃう!」
 データが完成しているとは言い難い状態だったが、ジュンコは無理矢理プリントアウトし、会議室へ駆け込んだ。

「失礼します!」
 ドアを開けると、部長以下数名の幹部社員が円卓を囲んで座っている。
「おう、遅刻だな」
 薄ら寒い視線を感じつつ、ジュンコは資料を配布した。

「すみませんでした。こちらが課金業務の改善点です」
 資料の内容を必死で説明するが、未完成な部分も多く、噛み合わない説明に。
「んー、これじゃ改善点がよくわからんな」
 部長が不満そうに言う。ジュンコは失敗を悔やむ。

 その時、突然部長が意味深な笑みを浮かべた。不気味な雰囲気が流れ、ジュンコの背筋が凍る思いがした。
「この資料じゃ、君の能力が疑われる。ちゃんと仕事ができない社員は要らない」
「え……?」
 人事考課を示唆され、ジュンコの顔から血の気が引いていく……。


(使用AI:Claude 2.1)


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【感想】
 なんなんだこの部長は!? ジュンコが失敗するようにわざと無茶な仕事をやらせたのか? 何かジュンコに恨みでもあるのか? ジュンコを愛人にでもしようとして迫ったけれど、断られた腹いせとかなのか? 単に自分の立場を利用して、他人に嫌がらせをする弱い者いじめが好きな人物なのか?

 「要らない」と言っているから、合理化のために人員整理をして社員を減らしたいのか? 今はそんなに簡単に社員をクビにするなんてことはできないから、失敗させて待遇を悪くして、会社に居づらくさせて自主退社に追い込もうという魂胆なのか?

(※:「Claude Instant」に小説を書いてもらうとイマイチだけど、「Claude 2.1」は割とちゃんと書けるようだ。しかも結構長い文章にしてくれる。面白いかどうかはわからないけれど。的確な指示さえ与えてやれば、面白い話を書いてくれるのかもしれない)

(注:AIが考えたタイトル案は「残暑の課金」「熱風の課せられし者」「熱風のさざ波」「蒸し暑き課金の重み」でしたが、イマイチに感じたので「理不尽!」にしました)


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