逃げ出したくて

文字数 1,371文字

 僕は朝から気分が沈んでいた。いつものように会社に出勤し、机に向かっているが、なんとなく今日はやる気が起きない。外の景色を眺めると、春の陽射しが窓ガラスを照らしている。外は気持ちよさそうだ。そう思うと、ふと逃げ出したくなった。

 上司からメールが届く。今月の営業成績はまったく芳しくないと指摘されている。確かに最近は仕事に熱が入らず、いつも以上に成果が出せていない。首を向けると、隣の同僚が無表情で作業を続けている。皆また同じ日々の繰り返しに耐えているのだろう。そんな光景を見ていると、なおさら逃げ出したくなってきた。

 昼休憩、食堂であれこれ他の部署の人々と雑談をしていると、ある男性が熱っぽく言った。

「せっかく若いんだから、思い切って海外に行って見るもんだぜ!」

 その言葉が胸に突き刺さった。確かにそうだ、僕は若くて自由な身だ。この窮屈な世界から飛び出すチャンスがある。海を渡れば、新しい地平が広がるはずだ。

 帰り道、街を歩きながら、ふと人生の無駄な時間の長さに気づいた。朝から晩まで働いて、休日は家で過ごす。それが人生の大半だ。でも、本当にそれでいいのだろうか。歳を取る前に、一度でいいから自由を満喫してみたい。

 夜になり、一人で缶ビールを啜りながら、パソコンで海外の旅行情報を調べ始めた。バックパッカーのように、自由気ままに世界中を放浪してみたい。南の島で日光浴をしたり、アジアの山奥で修行したり。様々な可能性が目に浮かぶ。これ以上この殺風景な日常に閉じ込められていたくない。

 ふと旧友のSNSを見ると、彼がホームレスのように世界を放浪している姿が投稿されていた。「自由に生きている」という短いメッセージが添えられていた。あのバカ野郎は、つまらない日常から飛び出して、ずっとかっこいいことをしていたのだ。羨ましい。

 そう思うと、中学生の頃の想い出が蘇ってきた。あの頃、僕らは一緒に海外に行く夢を描いていた。大自然を駆け巡り、ワクワクするような冒険を体験し、大喜びで笑い転げるのが目標だった。それを目の前にしたら、勇気がわいてきそうだ。

 ああ、もうこの殺風景な日常に縛られていられない! 飛び出さなくてはいけない。旅に出て、かつての夢を実現させよう。人生なんて短いんだ、制約に縛られるだけじゃ無駄だ。

 そう決意した僕は、翌朝に職場に出向き、上司に「退職します!」と突然宣言した。上司は驚いた様子で「いったい何が?」と詰問してきたが、僕は力強く答えた。

「夢を実現させたいんです。この殺風景な日常から飛び出して、自由な人生を歩みたい。頼みますから、僕を許してください!」

 上司は困惑した表情を浮かべながらも、最終的には僕の熱意を汲んでくれたようだ。僕はその日のうちに退職手続きを済ませ、旅支度に取りかかった。

 数日後、手持ちの全財産とバックパックだけを持って、僕は家を出た。空港に向かう車中、心の中で自由を求める気持ちが爆発しそうだった。もうこの殺風景な日常には縛られない。これから始まる冒険に、身が竦む思いでいっぱいだ。目的地は未定だが、きっと色々な発見と出会いが待っている。背中を押す旧友の姿と、かつての夢が、これから先の道を照らしてくれるだろう。

「待っていろよ、自由! 僕がそこにいくぞ!」


(使用AI:Claude 3 Sonnet)


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