第2話 思わぬ再会
文字数 729文字
駐車場で樋口のもどりをボーと待っていると――
『県立相模野 高校』
とペインティングされた大型バスが車止めに入ってきた。
なかからぞろぞろと野球のユニフォームに身をつつんだ部員たちが降りてくる。
ここに練習試合にきたのだろうか……と眺めていると、そのなかの一人が目をすがめるようにしてカイトのところへつかつかとやってきた。
どこかで出会ったような気がするが思い出せない。だが、向こうは心当たりがあるようで、覆い被さんばかりに顔を近づけてくる。
「やっぱりだ! カイトじゃないかっ!!」
辺り一帯に響き渡るような大声だ。目がらんらんと輝いている。
自分の名を呼ばれてカイトは大急ぎで記憶のページをめくる。
「えっ……と、きみは……」
まだ名前がでてこない。だが、顔の輪郭は鮮明に思い出せた。いたずら好きで茶目っ気のある日本の少年……彼の名は……。
「ヒョウゴだよ、有坂兵悟 !」
そうだ、彼だ。あれはリトルリーグ世界大会決勝戦前の親睦会。こっちの顔をみつけるや、いまのように真っ先に話しかけてきた男だ。
4年ぶりの再会。顔立ちは変わってないが、背は伸びて大人っぽくなっている。カイトの身長が175センチなのでそれより10センチほど高い。若干、こちらを見下ろすような格好だ。
「おまえ、日本にきてたのか?」
「交換留学生というやつさ。4月の新学期から編入される」
「うーん。そっかあ。じゃあ、ここでも――」
「野球はやらない。聞いてるかどうか知らないけど、ボクはもう野球はできないんだ」
先回りしてカイトはいった。兵悟は複雑な表情でカイトを見ている。
「じゃあ、ひとつ提案があるんだが、いいかな」
兵悟はカイトに対して、とんでもない相談を持ちかけるのであった。
第3話につづく
『県立
とペインティングされた大型バスが車止めに入ってきた。
なかからぞろぞろと野球のユニフォームに身をつつんだ部員たちが降りてくる。
ここに練習試合にきたのだろうか……と眺めていると、そのなかの一人が目をすがめるようにしてカイトのところへつかつかとやってきた。
どこかで出会ったような気がするが思い出せない。だが、向こうは心当たりがあるようで、覆い被さんばかりに顔を近づけてくる。
「やっぱりだ! カイトじゃないかっ!!」
辺り一帯に響き渡るような大声だ。目がらんらんと輝いている。
自分の名を呼ばれてカイトは大急ぎで記憶のページをめくる。
「えっ……と、きみは……」
まだ名前がでてこない。だが、顔の輪郭は鮮明に思い出せた。いたずら好きで茶目っ気のある日本の少年……彼の名は……。
「ヒョウゴだよ、
そうだ、彼だ。あれはリトルリーグ世界大会決勝戦前の親睦会。こっちの顔をみつけるや、いまのように真っ先に話しかけてきた男だ。
4年ぶりの再会。顔立ちは変わってないが、背は伸びて大人っぽくなっている。カイトの身長が175センチなのでそれより10センチほど高い。若干、こちらを見下ろすような格好だ。
「おまえ、日本にきてたのか?」
「交換留学生というやつさ。4月の新学期から編入される」
「うーん。そっかあ。じゃあ、ここでも――」
「野球はやらない。聞いてるかどうか知らないけど、ボクはもう野球はできないんだ」
先回りしてカイトはいった。兵悟は複雑な表情でカイトを見ている。
「じゃあ、ひとつ提案があるんだが、いいかな」
兵悟はカイトに対して、とんでもない相談を持ちかけるのであった。
第3話につづく