第12話 絶対の守護神
文字数 701文字
――将棋も野球も同じ。
登に三連敗を喫したカイトはバスに乗って保土ケ谷球場に出かけた。
彼のいうとおり将棋も野球も細かい駆け引きが勝敗を分ける側面をもっている。
筋と流れを読んで適所に駒を指す。野球観戦がすぐさま役に立つとは思えないが、上達のヒントになるかもしれない。そんな軽い気持ちで出かけたに過ぎない。
ちょうど桜台高校と東海学院高校の試合がはじまっている。
目立たないように観戦しようと、内野席の端の方に移動していると――
「お。やっぱ気になって見にきたか」
一番会いたくない人物に声をかけられた。
相模野の有坂兵悟である。土のついてないまっさらなユニフォームを着ている。どうやらひとりだけ先乗りできたようだ。
「おいおい、そんな嫌な顔するなよ」
兵悟が眉根を寄せていった。思わず表情にでてしまっていたらしい。
「きみのせいでひどい目にあったよ」
「いやあ、悪気はなかったんだ。ごめん!」
手を合わせて頭を下げてはみせたが、とても反省しているようにはみえない。
「おわびにこの試合の解説をしてやるよ」
兵悟は勝手に解説役を買って出るとカイトを隣に座らせた。
「相手の東海学院高校の特色は登板するピッチャーが三人いるということ」
「三人?」
「先発、中継ぎ、抑えの三本柱さ。三人のピッチャーはそれぞれ与えられた役割を忠実に果たす」
「プロみたいに分業制が成り立っているというわけだね」
「そう。いま一塁を守っているあの男」
まるで山を思わせる巨漢だ。身長は187センチ、体重120キロ。プロ野球ではなく、相撲部屋からスカウトがきたという噂もあると兵悟はいう。
「
第13話につづく