序章 プロローグ
文字数 429文字
「じゃあ、いってきます」
日野海渡 は、ぱんぱんに膨れあがったキャンパス地のバックパックを重そうに担ぎ直すと、父親の悠造 に向かって太陽のような笑顔を向けた。
「海渡、くどいようだが、向こうでは……」
「わかってるよ。野球はやらない。Don't worryさ」
悠造の言葉を遮るように海渡はいう。
「父さんの故郷、日本文化というやつを学ぶだけだから」
「約束だぞ」
「うん。誓うよ。それじゃ」
再び笑みを浮かべて海渡はポーチから外へでた。
しばらく歩いて我が家を振り返る。
住み慣れたクラフツマン様式(バンガロースタイル)の家、それは写真で見た日本家屋に少し似ている。
海渡はこれから、その名のとおり海を渡り、その目でその足で実際の日本を体験するのだ。
わくわくが止まらない。
空港に向かうバスに飛び乗ると、海渡はバックパックの中身をもう一度点検した。
「えっ?!」
入れたはずのないものがそこにはあった。
それは父親に固く禁じられたもの。
野球のボールであった。
「海渡、くどいようだが、向こうでは……」
「わかってるよ。野球はやらない。Don't worryさ」
悠造の言葉を遮るように海渡はいう。
「父さんの故郷、日本文化というやつを学ぶだけだから」
「約束だぞ」
「うん。誓うよ。それじゃ」
再び笑みを浮かべて海渡はポーチから外へでた。
しばらく歩いて我が家を振り返る。
住み慣れたクラフツマン様式(バンガロースタイル)の家、それは写真で見た日本家屋に少し似ている。
海渡はこれから、その名のとおり海を渡り、その目でその足で実際の日本を体験するのだ。
わくわくが止まらない。
空港に向かうバスに飛び乗ると、海渡はバックパックの中身をもう一度点検した。
「えっ?!」
入れたはずのないものがそこにはあった。
それは父親に固く禁じられたもの。
野球のボールであった。