第1話 真っ赤なポルシェ
文字数 613文字
到着した成田空港でカイトを出迎えてくれたのは、樋口美希子 と名乗る女性教師であった。
「Welcome to japan Kaito Hino. Ah……」
「大丈夫です。日常会話程度だったら日本語で通じます。No problem」
「ああ、そう。じゃあ、これからは日本語で」
聞けば樋口の専門は英語だという。どことなくほっとしたような顔つきで英語教師はクルマのドアを開けた。車種はポルシェで、ボディカラーはいやでも目につくカーマインレッドだ。
「凄いクルマに乗ってますね」
皮肉ではなく、素直に驚きを表してカイトは助手席に乗り込んだ。
「ちょっと副業もやってるの。学校にはナイショよ♡」
スリットの入った黒のタイトスカートからチラリと太腿を覗かせて、樋口がいたずらっぽく微笑む。
どんな副業なんだろ……と疑問を浮かべるまもなくポルシェは急に走り出した。樋口の運転は荒っぽく、まるで走り屋のようだ。
横浜市立桜台高校。
真っ赤なポルシェが、どけとばかりに校門から駐車場にドリフトをきかせて乗り込んでゆく。
「ちょっと待ってて」
クルマから降ろされ、駐車場で待つようにいわれる。樋口は急いで校舎のなかに入っていった。もしかしたらトイレを我慢していたのかもしれない。
(ここが日本のハイスクールか……)
桜の花びらが頬に降りかかる。季節は3月下旬。交換留学生として転入した桜台高校の校庭はまさしく満開の桜に彩られていた。
第2話につづく
「Welcome to japan Kaito Hino. Ah……」
「大丈夫です。日常会話程度だったら日本語で通じます。No problem」
「ああ、そう。じゃあ、これからは日本語で」
聞けば樋口の専門は英語だという。どことなくほっとしたような顔つきで英語教師はクルマのドアを開けた。車種はポルシェで、ボディカラーはいやでも目につくカーマインレッドだ。
「凄いクルマに乗ってますね」
皮肉ではなく、素直に驚きを表してカイトは助手席に乗り込んだ。
「ちょっと副業もやってるの。学校にはナイショよ♡」
スリットの入った黒のタイトスカートからチラリと太腿を覗かせて、樋口がいたずらっぽく微笑む。
どんな副業なんだろ……と疑問を浮かべるまもなくポルシェは急に走り出した。樋口の運転は荒っぽく、まるで走り屋のようだ。
横浜市立桜台高校。
真っ赤なポルシェが、どけとばかりに校門から駐車場にドリフトをきかせて乗り込んでゆく。
「ちょっと待ってて」
クルマから降ろされ、駐車場で待つようにいわれる。樋口は急いで校舎のなかに入っていった。もしかしたらトイレを我慢していたのかもしれない。
(ここが日本のハイスクールか……)
桜の花びらが頬に降りかかる。季節は3月下旬。交換留学生として転入した桜台高校の校庭はまさしく満開の桜に彩られていた。
第2話につづく