第16話 やっちまった

文字数 819文字

 あーあ。やっちゃったー。なんてことが最近立て続けに起こります。歳のせい?それとも単なる落ち着きのなさ?何れにしても日常の不幸なお話です。

 最後の一口の牛肉の赤ワイン煮。でも少し大きすぎた。だから箸で割ろうとした。煮汁に浸かった冷めた肉は硬さを増し、箸を滑らせ……ビシャッ!不幸中の幸いで肉は器にとどまっていたが、煮汁の洗礼を受けた。全てのお(かず)の最後の一口がコレだ。不幸なことに赤ワインのデミグラスソースは、汚れが落ちない二大要素が含まれている。ワイン、トマト。

 さらに不幸なことに汚れは部屋着の袖とその下に着ていたヒートテックの袖にまで被害を広げていた。『何じゃこりゃー』である。夫は何も言わず席を立ち、そそくさと寝室へ逃げた。平静な顔をしていたが、頭の中では腹を抱えて笑っていたに違いない。

 とにかく直ぐに洗い落とさなければと思い、箸で切れなかった大きいままの肉を頬張りながらスロップシンクへ。バサバサと衣類を脱いでゴシゴシ。とりあえず手洗いして、明日の朝、洗濯機で洗うことにした。

 汚れと言えば、社宅にいたころのママ友の話。娘にブランドのワンピースを着せて外食したのだが、胸元にシミをつけてしまったと。帰宅後手洗いで優しく揉み洗いをしたがラチがあかず、だんだん力が入って、気がついたときには穴が空いていた……と(驚)

「で、どうしたの、その服?」

『悔しいから、捨ててやった』(大笑)

彼女とは社宅から離れても、親しい間柄にある。類は友を呼ぶ。

 翌朝、洗濯機にお任せしていざ物干し場へ。手洗いの甲斐もなく昨日の名残がシッカリ付いていた。まあ、お出かけの服でもないし、誰に見せるわけでもない。何回か洗っていれば、そのうち薄くもなるだろう。そう自分に言い聞かせて着ることにした。

 今回は自分だけの『やっちまった』で済みましたが、ともすると相手がある場合も。ついつい失言なんてことは気が緩んだときに起こりがちです。みなさん、気をつけましょうね。
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