第22話 メンテナンス

文字数 902文字

 若いころ、得意気に履いていたハイヒール。当時は今より10kgほど痩せていて、ストレートのロングヘア。振り返ってみると容姿的にはイケてたと思います。でもその代償をこの歳になって払うことになろうとは……

 あれれ、おかしいな。右足の親指に違和感を覚え、靴下を脱いで見た。親指が限りなく人差し指を圧迫するように曲がっている。外反母趾。もう3年ほど前からパンプスが履けない足になっている。もちろんハイヒールなんて論外。症状が進まないように、足に負担をかけていなかったのだが、親指はどんどん人差し指に近づいている。

 独身のころ、会社の同僚が先の丸いローヒールの靴を履いていた。スーツの上下にペタンコの少しゴツイ革靴。それが外反母趾のための靴だと知ったときは、外反母趾という言葉すら知らなかった。同僚は私より2歳上で20代で手術を受け、もうパンプスは履かないと言っていた。

 そんな思い出から40年近く。私は同僚の経験を生かすことなく、足の不具合で悩んでいる。病院に行くべきか、サポート用具を使って凌ぐべきか思案中。同じ悩みを持つ友人たちからは、病院に行く話を聞いたことがないというより、そもそも話題に出ない。ただ、ほとんどの足元はスニーカーが主流になってきた。ひと昔前なら、スカートにスニーカーなんてコーディネートはあり得ないことだったが、今は流行りの影響もあってかスーツにスニーカーはむしろニューヨーカーっぽくてステキに見える。(注:それなりの格好にスニーカーの話)

 だから私も靴の選択肢が増えて今に至るのだが、前述のような違和感があるということは、今後も進行する可能性がありそうな予感もする。受診して手術となったら、リハビリ期間がいるだろう。そして動きが鈍くなる分、筋肉が衰え、体力を回復させるのに時間もかかるだろう。そんな想像が頭をぐるぐる回り、今後の対応に悩んでいる。

 今日が一番若い。前向きに考えるなら、一日も早く受診して、治すのがいいのは分かっています。でも現状維持できるなら、ギリギリ今の状態を保っていきたいというのも本音です。ここまで書いて整理がつきました。一度受診して医師の意見を聞こうと思います。
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