第42話 成人の日の翌日

文字数 908文字

 あー、タイミングを間違えたわ。昨日は成人の日だったのに。遺影の話なんかして。気分を害された人、ごめんなさい。ぜんぜん悪気はないの。ただ、私時間で書いているエッセイだから、世間時間とズレることは今後もあると思います。お許しください(謝)

 今年の4月から成人年齢が引き下げられる。もう随分前から話題になっているので、今さら驚かないが、

となると少しザワつく。来年の成人式は3学年合同になるとか。ある意味貴重な年。言い換えれば中学や高校の全校生徒が成人になるようなものだ。18歳で成人になる人たちはどんな思いで迎えるのかを聞いてみたい。また、その子どもを持つ親の気持ちも。

 私が成人したときの感覚は、あまり覚えていない。当時は学生だったし、成人式に出ることもやらされ感があったし。とにかく自覚の薄い大人へのスタートだった。記憶に残ることと言えば、会場に着く前までの行動と母方の祖父母に晴れ着姿を見せに行ったことくらい。

 振袖の着付けを美容室に頼んでいた私は、あたりがまだ暗いうちに美容室へ。そこには既に髪をセットしてもらっている先客さんがいた。

『何時に来たの?』

そう声をかけたくなるほどの時間。私だって早いと思っていたから。予約は母がしてくれた……と思う。今でこそ成人式の予約は、成人式が終わった翌日からみたいな流れがあるから、当時はいつごろ予約を入れてくれたのだろうと改めて聞いてみたくなった。地方の田舎町。美容室だって沢山あるわけじゃない。当時はまだ成人の数もそこそこいたはずだ。式典に間に合うように、でも早すぎる時間ではないように予約を入れてくれたであろう母の気遣いに、今さらではあるが感謝したい。

 去年の暮れ、成人式で使ったショールを処分した。アヒルの羽のフワフワのヤツ。見た目は綺麗に保管されていたが、やはり経年劣化は否めなかった。箱の中には当時の値札が。今の金額でも通用する値段。一瞬ためらい申し訳なくも思ったが、今後のことを思い手放した。
今の私は立派と言うには程遠いが、充分すぎるほどの大人なったと言う自覚だけはある。

 ショールのこと、もちろん母には言えません。母の思いだけは忘れずにいたいと思います。
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