第3話 固まる

文字数 858文字

 ソファーに座って、小一時間テレビを見ました。「さて、キッチンでも片付けるか」と立ち上がりましたが、腰が固まってまともに立てません。なんということでしょう。

 ソファーから立ち上がった。一気に背中を伸ばせない。仕方がないので2〜3歩踏み出す。人類が進化したときの絵のように背筋は伸びた。こんな動きになったのは、いつからかはハッキリしないが、ここ1〜2年のことだと思う。

 最近、身体が徐々に年寄り化している感じが否めない。私の場合、その始まりはアラフィフで訪れた老眼。視力が良かっただけに、物を近づけてボケる感覚に気付いたときは、何度も目をパチパチさせ、ゴシゴシ擦って意地でも見てやろうと思ったものだ。眼科医に

「老眼です」

と宣告されてからは、足掻(あが)くことなく、老眼鏡をかけた。その次は五十肩。四十肩なら良かったのに。違いはご存知?年齢じゃないの。五十肩は、治りが遅くて再発有り。四十肩の比じゃない。こちらはきっかけがわかっている。イタリア旅行の最中に左上腕の外側に筋肉痛のような痛みが出た。旅行中なので、自分でマッサージをすることぐらいしか手立てがなく帰国。何日も経たないうちの朝起きたら、腕が上がらなくなっていた。

「なんじゃこりぁー」

自分の意思は上げる気満々なのに、全く上がらない。下手に上げようものなら「痛たたた……」整形外科医に

「五十肩です」

と宣告されてからは、リハビリに通った。担当の医師も五十肩の真っ最中で、診察の度にお互いを励ましあった。

 そして、同じ姿勢を長時間やっていたあとの身体の固まり。腰をかがめ背中を丸めて踏み出す2〜3歩は、誰が見ても婆さんだ。背中を丸めて歩く意味が自ずと解りかけているお年頃になった。それでも、まだ

で済んでいる。シニアの自覚がさらに深まる年末だ。

 これからどんどん寒くなっていきますよね。若者だって背中を丸めるこの季節に、背筋を伸ばして歩こうなんて至難の技?いやいや、ユニクロの極暖肌着を着て若者以上に颯爽と歩いてやろうと目論んでます。老化は受け入れます、でも負けない。
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