第28話 お家騒動

文字数 896文字

 とうとう下の子が来年の1月末で会社を辞めることになりました。ただいま就活中です。

 下の子が辞める理由は、仕事の内容が嫌というわけではない。人間関係……と言えばそうだが、同僚や直属の上司に不満があるわけでもない。原因は経営者。1000人以下の中小企業で、トップの横暴なやり方が前から問題になっていて、辞めていく人が跡を立たない。御多分に洩れず、ウチの子も辞める決意をした。

 独身時代を思い出した。私も中小企業で働いていた。本社は東京で、私は支社に在籍。3年ほど勤めたころ、社内に不穏な空気が流れ始めた。社長と支社長が対立し、分裂するかもというお家騒動。何処ぞの有名布バッグ屋さんとか、セレブ家具屋さんのような知名度はなかったので、世間の片隅で私のような平社員だけがアタフタするばかりだった。

 結局、分裂することになり、私のいた支社は取引先は、ほぼそのままで表向きは、社名を変えるだけのことになった。支社長は本社採用で入社していた社員全員に、会社に残るかどうかの選択を迫った。私は新会社の先行きが不安であるのと、上司との折り合いがあまり良くなかったので、退社を決めた。その年齢が下の子とほぼ同じ。なんだか変な運命を感じる。

 時代はバブルが膨らみ始めたころ。会社の理由で退職するからと退職金に少し上乗せがされていた。慰謝料のつもりだったと思う。残業も多い仕事だったので、私は少し休みたくなった。そんな呑気なことが許される時代でもあった。

 まとまった休暇ができた私は、ここぞとばかり海外旅行へ行くことにした。その行き先が、以前少しだけ投稿したNY。飛行機と宿泊先それから空港からの移動手段の手配だけを旅行代理店に頼み、現地ではほぼフリーの観光をすることにした。生まれて初めての海外だったが、これぞ若気の至り。少し無謀ではあったが無事に行けたのは、幼馴染が同行してくれたことが大きい。幼馴染も初めてではあったが……
コロナ禍で不景気な時代に転職を考えている下の子には言えない昔話。

 人生をどの時点でどう楽しむかは、自分次第だと思っていましたが、こうして振り返ってみると、時代の恩恵もあったなと思います。


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