第37話 仕事今昔

文字数 849文字

 下の子が帰ってしまいました。途中で会社の同僚と合流して、京都観光すると言っていました。仲の良い同僚がいっぱいいるのに、今月で会社を辞めてしまう。勿体無いなぁと親の私は単純に思うのですが、仕事は部活のようにはいきませんよね。

 今年の仕事始めは1月4日の人が多いようだ。子どもたちの会社もそう。だが上の子はリモートだから、まだウチにいる。午前8時40分、パソコンのスイッチを入れた時間が出社の合図。リビングのコタツの上が今日のデスクになった。しばらく、キーボードをカチャカチャ。スマホに電話が入り、新年の挨拶のあと敬語での会話。別人みたい。大人だ。

 入社5年目。もはや新入社員とは言えない中堅どころ。専門用語を並べて話しているので、理解出来ず。昨夜、今携わっている仕事の内容を聞いた。噛み砕いた言葉で説明してくれたので理解出来たが、遡って同じ歳の私に出来るとは思えなかった。

「偉いね。凄いよ」

 そんな陳腐な言葉しか出なかったが、尊敬している。夫の遺伝子に偏っている感じが否めない。喜ぶべきか。悔しいけど。

 私が社会人になって初めて入った会社は、ある音響メーカーのビルの管理会社だった。仕事を教えてくれた人は私よりも、ひと回り上の女性。年下の私を気遣ってくれ、わがままな上司への愚痴を優しく聞いてくれた。仕事はほぼ彼女と同じことをしていたのだが、その中に伝票を切る作業があった。

あるとき上司が、それぞれの伝票の数字を見て

「下手だな。練習しろ」と。

 その日から、毎日マス目の紙に数字を書いて上司に提出。それを上司が習字のように赤ペンで添削。これも仕事だったんだから何ともノンビリした時代だと今さらながら驚く。今は手書きの数字なんてどれほど必要とされるだろう。キーボードをブラインドタッチで打ち続ける上の子を見て、時代の違いをまざまざと感じた仕事始めの日の午後。

 私はこの投稿をiPad のローマ字入力で打っていますが、ブラインドタッチはおろか、見ながら打っていても同じ間違いをすることがしばしばです(泣)

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