第43話 火傷

文字数 894文字

今年も良いこと悪いことが、表裏一体でやってきそうです。
 
 去年の暮れ、実家から即席雑炊をもらってきた。お歳暮のお裾分け。具材は牡蠣や鯛でスーパーではお目にかからない少し高級なヤツ。それを昨日のお昼に食べた。災害用の即席ご飯と同じアルファ米と出汁で5分煮込めば完成。出汁に入っている具材は確かに鯛だろうが、何とも心許ない量。だから冷蔵庫にあった三つ葉を足す。見るからに美味しそうな雑炊の完成。

 いざ、実食。濃いめの出汁が食欲をそそる。ひと口。入れてから後悔した。油断した。でも、既に遅い。上顎を火傷した。だが、直後はまだ感覚が鈍い。だから雑炊は美味しくいただいた。そして本日。

『痛いんですけど』

 一晩かけて、口内炎のような痛みに変わっていた。私の上顎は中心が突起している。コレは私が歯ぎしりをしている証拠。数年前に歯医者さんから教わった。それまでは上顎はこうだ思っていた。突起部分のせいで、私はより火傷しやすくなっている気がする。まあ、仕方ないことだが。半世紀以上も生きているが、同じ失敗を繰り返す。新陳代謝も落ちているのだから、もっと気をつけなければいけない。

 火傷と言えば幼いころ、

で膝に近い(もも)辺りに、小指の頭くらいの火傷をした。豆炭あんかは、火の着いた炭を内蔵した採暖用保温具。母方の祖父母の家で布団の中に入れて使っていた。朝になり、腿に違和感が……見ると水膨れが出来ていて、しばらくして潰れた。潰れた後の方が痛かった。どうやら低温火傷をしたらしい。痛みが消えても傷痕は一向に消えなかった。未だに薄っすらと痕がある。

「ごめんねぇ。火傷させちゃって」

と謝られたが、怒るなんてとんでもないと幼心に思った。幼くても祖母の愛情はちゃんと分かっていたから。

 最近、動きも鈍くなり粗相が増えたと思う。火傷はその1つ。料理中にフライパンに触ったり、熱い油が飛んできては水で冷やす。少し前までは、もっとしなやかに動けたはずなのに……寿命まで生きるとしたら、まだまだ何年もある。怪我をせずに老後を過ごしていきたいものだ。

 キッチン周りの仕事は、案外危険が多いです。油断は禁物ですよ、みなさま。
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