第29話 回覧板

文字数 860文字

 あなたの住んでいる所は、回覧板がありますか?私の町には月に1〜2回程度回ってきます。右隣からか左隣からかは、年によって違います。

 今年度は、左隣の家から回ってくる。今朝、ポストに入っていたのを夫が持ってきた。中身は近くの小中学校の様子が書かれた紙類と、地区内の道路工事予定のお知らせなど。町全体が乗る広報誌と違い、身近な情報ばかり。ウチに必要な情報の日時をカレンダーに書き留め、回覧板を見た日付を記入して右隣のお宅へ。

 少し気に入らないことがあった。左隣の日付が2日前になっている。でも、ポストに入っていたのは今日。コレで私が今日の日付を入れたら、ウチが止めていたように見えるではないか。前にもあった。たかが2日、されど2日なのである。止めることを言っているんじゃない。不愉快になる行為をシラッとされることが嫌なのだ。お付き合いもほとんどないので、寛大な心も発動しない。私はこういうのを笑って許せないタイプだ。

 回覧板は、役所から地区の自治会長に渡され、その後自治会の広報委員によって組長の手に渡り、各家庭を回る。ウチが今の場所に引っ越してきたとき、自治会に入るのは半ば強制的というか何の疑問も持たずに入会した。この安易な入会により、数年後に私は自治会長という誰もやりたがらない役職を務めることになるのだが……

 その自治会長をやった年が、ひと回り前の寅年だった。つい昨日のことのような感覚だったが、恐ろしい速さで数日後には同じ年を迎える。当時は、800世帯余りの広報誌や回覧板に挟む紙類が毎月ウチに届き、私1人で広報委員の人数に分けるという作業をしていた。もちろん夫は会社勤めでノータッチ。だから回覧板が来るたびに当時の忙しかった1年を思い出す。

 自治会長の仕事は、人前で話すこともあった。例えば地区の盆踊りの挨拶。マイクに自分の声が載ったときは、とんでもないアニメ声のような感じに聞こえ、ガッカリしたことも今は懐かしい。

 この2年、コロナ禍で自治会の行事全てが中止されました。会長になられた人が少し羨ましかったです。
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