第33話 帰省①

文字数 910文字

 大晦日に子どもたちが帰ってきました。上の子は車で1時間ほど離れた所。そして下の子は関東に住んでいます。

 上の子は、お昼ごはんに合わせて帰ってきた。久しぶりなので、ご馳走を用意してあげたいなどと思っていたが、最近ようやく違うと気づいた。一緒に暮らしていたときの普段料理の方が喜ばれることを。だから上の子が好きな蕪のお粥を作っておいた。すりおろした蕪を、ごはんと一緒に土鍋でクツクツ。蕪の葉とササミの入った醤油餡をかけて食べるというもの。

「蕪のお粥、食べる?」

「うん、食べる、食べる。」

そう言っておかわりもした。あまりの食べっぷりに

「今日、何度目のゴハン?」と訊ねると

「最初」

 なるほど。そりゃあ、おかわりもするだろう。ひとり暮らしは全てのことが、自分の采配で決められる。食事はその典型。三食のうちの朝ごはんだけは抜かずに摂った方がいいと小言を言いそうになったが、あまりにも美味しそうに食べてくれるので、心に留めた。タイミングを図って、言わないと。

 そうこうしていると、下の子からLINE。

「今、部屋の掃除中。そっちへ着くのは18時ころかな」

 30日が仕事納めだとは聞いていたが、ちゃんと掃除してくるんだ……偉いじゃん(親バカ) 社会人4年目。学生時代も自宅にいた子が、社会に出ると同時に家も出た。最初のころは、仕事と生活を軌道に乗せるのが大変だろうとサポートしたかったがキッパリ断られた。しばらくは『LINEもするな』と言われた。あとから当時のことを訊いたら

「終電で帰って、自宅で仕事に使う資格試験の勉強して、また会社だったから、寝る時間も無かったし、朝は食べる気がしなかった」

 まさか、そこまでの根性があったとは…… 心配だったが、もう私の出る幕ではないなと思った。その言葉を聞いてから、老婆心は止め、下の子のその場そのときの様子を聞くだけのLINEに変えた。もちろん、相談があればいつでも私なりの回答は出すようにしている。

 結局、下の子が帰宅したのは19時を過ぎていました。夫が駅まで迎えに行ってから1時間ほど戻らず心配しましたが、遅くなったのは途中で食材を買っていたからだと。魯肉飯(ルーローハン)作ってくれるんだって。楽しみー!
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