第27話 ペット事情
文字数 957文字
ウチにはペットがいません。2年ほど前、愛兎を亡くしてから飼っていません。後にも先にも愛兎で終わるつもりでいるのですが……
先日、友人から愛犬が亡くなったとのメールが入った。動物に亡くなるという書き方はおかしいかもしれないが、今や世間では、ペットは家族の一員と言われるほどに格が上がった。だから私は敢えてこの書き方にこだわりたい。確か15〜6才はいっていたかと。愛兎が亡くなるときにも「ウチも危ないかもしれない。覚悟しなきゃ」と言っていたころが思い出された。それでも、2年も生きた。犬はもちろん飼い主も大切に扱っていたことがうかがえる。
メールが入ったとき、私は実家にいた。数年前、友人が愛犬の絵を描いて欲しいと父に依頼した。父の趣味は水墨画。元気だったころの写真を何枚か渡され、描いた。写真のようにはいかないが、それなりに特徴が出ていて友人は凄く気に入ってくれ、父も喜んだ。そんな経緯で、たまたま実家に居た私は直ぐに父に知らせたと友人に伝えた。
すると追加で、2枚の写真が送られてきた。1枚は花いっぱいの箱の中で眠る愛犬の姿。そしてもう1枚は荼毘に付され、綺麗な骨壷と写真が飾られた祭壇。もちろんそれも父に見せ、人と同じような設 えに少し驚いたようだった。
私が愛兎を亡くしたときのようにしばらくは、涙が自然に出てくる日々を過ごすだろう。ペットを見送った後はそういうものだと思う。だからウチにはペットがいない。歳を取ってからの悲しみに堪える自信がない。そう思って過ごしてきた。
だが、その思いを少し揺るがすことがあった。夫の誕生日にシャンパンでお祝いをしたときのこと。いつもはほとんど晩酌をしない夫が珍しく何杯かおかわりした。食後、私が片付けをしているとリビングで
ドタ〜ン‼︎
と音が。夫が床に倒れていた。幸い意識はあり「貧血のようだ」と直ぐに喋ったので頭に枕を充て、しばらく横にならせた。5分ほど寝ていただろうか、自分で身体を起こし寝室へ向かうこともできた。今回はことなきを得たが、シニア世代の私たち。いつどういう形でお迎えが来るか分からない。猫の動画ばかり見ている夫に、本物飼わせてあげるべき最後のチャンスかもと思わせる誕生日だった。
子どもたちは飼ったほうがいいと言います。でも、お世話するのは私ですからねっ!
先日、友人から愛犬が亡くなったとのメールが入った。動物に亡くなるという書き方はおかしいかもしれないが、今や世間では、ペットは家族の一員と言われるほどに格が上がった。だから私は敢えてこの書き方にこだわりたい。確か15〜6才はいっていたかと。愛兎が亡くなるときにも「ウチも危ないかもしれない。覚悟しなきゃ」と言っていたころが思い出された。それでも、2年も生きた。犬はもちろん飼い主も大切に扱っていたことがうかがえる。
メールが入ったとき、私は実家にいた。数年前、友人が愛犬の絵を描いて欲しいと父に依頼した。父の趣味は水墨画。元気だったころの写真を何枚か渡され、描いた。写真のようにはいかないが、それなりに特徴が出ていて友人は凄く気に入ってくれ、父も喜んだ。そんな経緯で、たまたま実家に居た私は直ぐに父に知らせたと友人に伝えた。
すると追加で、2枚の写真が送られてきた。1枚は花いっぱいの箱の中で眠る愛犬の姿。そしてもう1枚は荼毘に付され、綺麗な骨壷と写真が飾られた祭壇。もちろんそれも父に見せ、人と同じような
私が愛兎を亡くしたときのようにしばらくは、涙が自然に出てくる日々を過ごすだろう。ペットを見送った後はそういうものだと思う。だからウチにはペットがいない。歳を取ってからの悲しみに堪える自信がない。そう思って過ごしてきた。
だが、その思いを少し揺るがすことがあった。夫の誕生日にシャンパンでお祝いをしたときのこと。いつもはほとんど晩酌をしない夫が珍しく何杯かおかわりした。食後、私が片付けをしているとリビングで
ドタ〜ン‼︎
と音が。夫が床に倒れていた。幸い意識はあり「貧血のようだ」と直ぐに喋ったので頭に枕を充て、しばらく横にならせた。5分ほど寝ていただろうか、自分で身体を起こし寝室へ向かうこともできた。今回はことなきを得たが、シニア世代の私たち。いつどういう形でお迎えが来るか分からない。猫の動画ばかり見ている夫に、本物飼わせてあげるべき最後のチャンスかもと思わせる誕生日だった。
子どもたちは飼ったほうがいいと言います。でも、お世話するのは私ですからねっ!