第4話 値下げシール

文字数 923文字

 太極拳のレッスンを終えた平日の昼ごろ、鳩のマークのスーパーへ行きました。週に一度の食品まとめ買いデー。無駄使いしないよう、あらかじめメニューを決め、食材を買うようにしています。

 主婦歴30年は、スーパー歴30年でもある。我が家の周りには歩いて行ける店2件、車で10分以内の所に6件ほどある。だがヘビロテの店は車で行く2件。決め手は品揃えと価格。以前の投稿に書いたことがあったが、私は独身のころ、食品の値段はどの店も同じだと思っていた超世間知らずな女だった。ところが経済観念が強い夫と結婚する事になり、随分鍛えられた。平たく言うとケチになったのだ。

 まだ、子どもたちが小さかったころ家族でスーパーに行った。夕方辺りだったか。惣菜は値下げシールが貼られているものが、あちらこちらに。夫はシールの付いた惣菜をカゴに入れた。当時私は値下げシールの商品を進んで買えるほどの度胸がなかった。レジに並ぼうとしたとき夫が

「やっぱり、要らないからコレ戻してきて」

と私に値下げシールの付いた商品を指差した。

「嫌だ。自分で戻してきてよ」

 私は咄嗟にそう応えた。恥ずかしかったのだ。その値下げシールが。夫は「そんなことも出来ないのか」と腹を立てながら戻しに行った。帰宅後もわだかまりとなった。それぞれの実家の生活観念の違いがクッキリと出た出来事だった。

 そして今日。カゴの中には値下げシールの商品が3個。肉、豆腐、カルシウム強化ドリンク。肉も豆腐も今日のメニューに使う物で問題なし。ドリンクは消費期限内には飲む予定なのでOK。消費期限や賞味期限に余裕があって購入しても、冷蔵庫で寝かせて期限が越えたら食べないのか?ならば、値下げシールの商品がある場所を自宅の冷蔵庫に置きかえよう。そんな思いで、今は何の躊躇もなく買物ができるようになった。決しておばちゃんになったから、ではないことだけは書いておきたい。

 買った商品をマイバックに詰めていると、ビニール袋のロールをカラカラと手繰るおばちゃんがいました。そして、丸めてマイバックへ。さすがにコレはルール違反。私は値下げシールは平気に買えるおばちゃんにはなったけど、ビニール袋カラカラなんてこの先も絶対にできません。たぶん。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み