第54話 ちがい

文字数 865文字

 今日は自分の病院に行ってきました。コロナのせいではないと思うのですが、いつもより駐車場が混んでいて、正直なところ院内へは入りたくなかったです。

 私が定期的に通う病院は、総合病院。科もたくさんあるし、病床も。コロナ禍になってから、出入口は1つになった。その上入って直ぐの所に人感センサーの体温計が置かれるように。私の体温は35.6度。相変わらず低い。腎臓の手術をする前は36.4度が平熱だったのに。もう少し筋肉を付けて体温を上げたい。

 待合室に行くと、椅子がほとんど間を空けずに埋まっていた。父の通う総合病院は椅子を所々空けて座れないようにしているので、椅子の周りに立っている人がいる。どちらの待合室が良いのか。

 とりあえず、私は着席。たまたま、空いていた死角の席。数年通っている者ならこの席は座ってもイイと分かる席。密にもならない。受付の近くでもあるので、聞くつもりが無くても、本人確認の名前と生年月日がダダ漏れに聞こえる場所。

 杖代わりに出来る小さなカートをひいた小柄なおばあさんが来た。

「◯◯◯◯、昭和8年◯月✖️日」

 父と同じ歳。ということは今年89歳。1人で病院に来ている。失礼だとは思ったが、看護師とのやり取りを見ていた。検査がいくつかあるようで、看護師は次々と説明している。

『あの速さの説明で理解できているの?』

看護師の説明が終わると、紙コップを渡され、尿検査用のトイレの場所を聞いていた。

『ちゃんと分かってる、スゴイ』

 思わず父の行動と比べてしまい、どうしてこのような差ができるのだろうと思った。このおばあさんは、まさしく私の理想形。脚は弱くなっても補助する物があれば、自力で動ける。看護師の手を少し煩わせることがあったとしても、ちゃんと説明を理解できる。具合が悪くても、行き先に迷うくらいの総合病院でも、物怖じすることなく、ココにたどり着けたことに私は心の中で拍手を送った。

 5分の診察に3時間待ちました。いつもなら本を読んでいるのですが、今日に限って忘れてしまって。でも多少の人間観察はさせてもらいましたけど。


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