第60話 幻の寝台快速

文字数 2,090文字

2021年、コロナ禍に追われるように鉄道業界も変化を強いられた。

そのなかでも一つ悲しいのが夜行快速列車「ムーンライトながら」の廃止なり。

いろんな列車がコロナのせいでお客あんまり乗せられない状況で苦しいのはわかるけど、「ながら」の廃止を告知するJRさんのpdfの「歴史的使命を終えた」みたいな文言はびっくりしました。
その文言、ワタクシも気になった。もうポストコロナの時代は大量旅客輸送としての鉄道の終焉なのか、と。

しかしそれだけではなかろう。

夜行高速バスがあれだけ栄えているのに、もっとエコノミーに運転できる鉄道がその需要を見ながらなんの手も打てないのはおかしい気がいたしますわ。
高速バス運転手もコロナ寸前までは過重労働に人材不足で大変だったはず。

私も鉄道のほうが効率よく運転できると思います。ひどいっ。

ひどくないよー。鉄道の強みが生かされてないよー。
新幹線指定席料金+運賃以上の料金の高級夜行高速バスもあってそれがうまくいってるのを見ると、流石に鉄道会社さん、大事なものを忘れてませんか、と思っちゃいます。
そこでワタクシも妄想しておった。
非貫通成田エクスプレス253系をつくるために房総ビュー255系を入手したときである。
メーカー不明って言ってたけどマイクロエース製でしたね。でもよくできてました。
早速列車のプランを考えた。

255系9両のうち片方の先頭車は253系非貫通先頭車にする。

残り8両と253系先頭車で目標とする9両編成の列車を組成する。

列車の企画としてはムーンライトながらのグレードアップ車として、簡易寝台(クシェット)などを備えた上で寝台快速として運転することとした。

夜行寝台快速! でもそれなら青春18きっぷでも料金を足せば乗ることができますわね。

現実に規程上そういう運転ができるのかはわかりませんが。

なにしろ鉄道の規定が最近かわってA寝台・B寝台が消滅したとの話もある。

JR西日本「ウエストエクスプレス銀河」に寝台の文字がないのはそのせいという説もあるのだ。

寂しいなあ。でも今ある寝台車は「サンライズ出雲・瀬戸」のほかはとんでもなく高い豪華周遊列車のものだけだもんね。仕方ないのかなあ。
カラーリングはこうしたい。青20号にブドウ色2号といった旧型客車のカラーを白い車体の上に配置、金帯で〆ることとしたのだ。そしてインレタを使った表現を加えるのだ。
往年の旧型客車夜行列車へのリスペクトですね。随分シックな装いになりそう。ひどいっ。
ひどくないよー。渋くていいかもしれないしー。こういう国鉄色って風景に独特にマッチするもんねー。
そして改造種車が回送されてきた。
緩急車を連結した甲種輸送風景を作ってらっしゃいますわね。

こういうのも模型の楽しみの一つですわ。

機関車DE10に牽引されて工場内に入ってきたところ、のつもりである。
お迎えの作業員さんがまた雰囲気出てますね。
さっそく天窓を作ってみるのだ。天窓は外見上の変化が大きく、自由形鉄道模型としては変化をアピールするには有効な改造項目であるぞ。
またハッタリ性能重視でひどいっ。
天窓のおかげで車内はこうなるのだ。
明るくて気持ちよさそうな車内だなー。でも夏は暑くなっちゃいそうですね。空調機使ってもきついんじゃないですか?
JR東日本のサフィール踊り子も同じような天窓を採用しておる。どう解決しておるのか興味深いのだ。いつか乗って確かめてみたいぞよ。
でも今は旅行に行きにくい時期ですわねえ。
さふなり。趣味の鉄道模型に必要な取材のための旅行など、本来は不要不急の極みであるからの。
それでもいってる人いるよねー。
他人は他人、他人がどうしようと関係ない。

ワタクシは逼迫する医療の現場で戦っている方々の苦境を深く考えると、ワタクシとしてそれを更に追い詰めるような感染拡大につながる旅行をして、楽しいとか勉強になるとはとても言えないのだ。

他人がどう判断しようと、ワタクシの判断として、できぬものはできぬのだ。

総裁らしいですわ。頑固ではありますがポリシーとしてありうるものに思えますわ。
この寝台快速列車は、天窓からチラ見えする内装が一番の楽しみになると思うた。

ゆえ、内装を考える。まずジャンクパーツボックスから既存車両の内装パーツをあつめてみた。

24系の食堂車や「ユーロライナー」のロビーカー、そして24系寝台車の内装にサンライズの内装。こんなにいっぱい持ってたんですね。
ジャンクパーツはいつのまにか増殖してしまうのだ……。
工作派の方ならみなさん身に覚えがありますわね……。部品取りに入手した模型をせっかくだから走行可能にしようとしてその部品取りにまた模型を入手してしまう。その結果増殖してしまうのですわ。
中古屋さんのバラ売り車両のワゴンでで24系のロビーカーとかが売られてると、なんだか放っておけなくてついつい買っちゃう。私だけかもしれないけど。
あら、わたくしもそうですわ。ああいう車両、ワゴンの中から寂しげな視線を送ってくるような気がいたします。保護したくなりますわ。
視線、って……。読者の皆さん引いちゃうようー。
この項目、続くのである。
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登場人物紹介

長原キラ ながはらキラ:エビコー鉄研の部長。みんなに『総裁』と呼ばれている。「さふである!」など口調がやたら特徴ある子。このエビコー鉄研を創部した張本人。『乙女のたしなみ・テツ道』を掲げて鉄道模型などテツ活動の充実に邁進中。


*総裁のびっくりヒミツ能力(順次公開)

・隠れオッドアイ。安いラノベのキャラだと思われたくないので視力は悪くないのにカラーコンタクトをはめて眼の色を合わせている。しかしこのオッドアイのその眼を見てしまうと自白させてしまう作用がある。あまりにも危険なのでそれを抑制するためにもカラーコンタクト。


 ほかにもまだまだあります。


葛城御波 かつらぎ みなみ:国語洞察力に優れたアイドル並み容姿の子。でも密かに変態。しかしイマジネーション能力は随一。


武者小路詩音 むしゃのこうじ しおん:鉄研内で、模型の腕は随一。高校入学が遅れたので、実は他のみんなより年上。鉄道・運輸工学教授の娘で、超癒し系の超お嬢様。模型テツとしての腕前も一級。

芦塚ツバメ あしづかツバメ:イラストと模型作りに優れた子。イラストの腕前は超高校級。「ヒドイっ」が口癖。

中川華子 なかがわ はなこ:鉄道趣味向けに特化した食堂『サハシ』の娘。写真撮影と料理が得意。バカにされるとすぐ反応してしまう。

鹿川カオル かぬか カオル:ダイヤ鉄。超頭脳明晰で、鉄道会社のダイヤをアルバイトで組んでしまうほどの『ダイヤ鉄』。プロ将棋棋士を目指し奨励会所属。王子と呼ばれるほどハンサムな女の子。電子回路やプログラミングが得意。


田島ミエ たじまみえ:総裁の古くからの友人。凄腕の模型テツ。鉄研のみんなと一緒に大洗などを旅行したものの、関西在住で滅多に会えない。なおかつその実像は不明。

小谷奈々 おたりなな


総裁の友人。凄腕のBトレ自動運転の模型鉄。地下アイドルをしているらしい。ウサミン星がどうとか言っていたが詳細不明。

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