第2話 出展のスタートライン
文字数 3,952文字
わたくしがお小遣いから資金を支出しますわ。でも月に200万円しかないのですが……足りますでしょうか?
ひいい、詩音ちゃんお金ありすぎ! でも非実在女子高校生だからお小遣いも非実在だよね。ヒドイっ。
うぬ、まさに本土決戦どころかもう房総半島に上陸を許したような局面である。
かくなる上は秘蔵大型多砲塔戦車オイ車での本土での地上戦しか無いのだ。
そんなのどこにもないよー。旧陸軍の大戦末期のオイ車は相模原で作られてたけど走れなかったってゆーしー。
そういいつつも親しまれるのが華子の人徳であろうの。
でもお金ないのにどうするんですか。お金がないのはクビがないのと同じですよ。
うむ、今年のJAM国際鉄道模型コンベンションは減力放送、線路を借りて車両を少し展示するだけにしようかと考えておった。
それは前から言ってましたよね。でもなんでこうなったんですか?
まずやれることをやってみようと思ったのだ。
それがクラウドファンディングなのである!
目標金額20万円、集まらなかったら収入なし、支援者さんも支払い無しでやろうと思ったのだ。
それがクラウドファンディングサイトの手数料とか諸々で入るのは14万程度なのだ。その分告知などの作成に手厚く対応してくれるのだから仕方ないのだが。
でも他人の出展に資金援助するなんて奇特な人、いませんよ。ヒドイっ。
これが終わったクラウドファンディングのサイトである!
残念ながら目標額には達しませんでしたけど、それでも支援の方がいらっしゃったなんて。
この気持ちだけでも十分ありがたいのである!! 孤立しているわけではないのだ! 大いに勇気をもらえたぞ!!
そうですね。でも支給も支払いもなしですね。これだと。
内心、終わったあと供託金没収みたいな出費があるかとビビっていたのは秘密だ!!
しかしYouTubeのライブ、動画サイトTopBuzzの収益。すべて焼け石に水であった。
TopBuzzは1日1200円も収益になる日もあるのにねー。だめじゃーん。
しかしそこでである。いつも出展の事務関係をやってくれているN先生よりお話が、
せっかくだからアーチ橋モジュールだけでももってこないか、と。
これですね。でもこれ、ハンドキャリーで持っていくにはちょっと大きいなあ……。
そこで、安くあげるために著者に軽自動車運転させてビッグサイトに搬入しようと思ったのである。
さふなり。搬入したところでそのクルマをどうするか。ビッグサイトに日をまたいでの留置は基本できない。JAM運営さんにお願いしても1万円かかる。そして行き帰りの燃料代、ETCつかった高速代。いろいろ考えると…。
ひいい、去年使ったクロネコJITBOX便とほぼ同額じゃないですか!!
まして前進基地での宿泊を考えると、クルマでの搬入はどうしても割高なのだ。
でもJITBOX搬入するとしても、去年と全く同じでは正直、つまらないし、意義も乏しいですわ。
さふなり。なんらかの新規の作品がなければ、ただの去年の再放送になる。
私はそれでもいいんじゃないかなーと思ったんですけどね。
しかし、去年のプランは実にびっちりと尻尾の先まであんこの詰まったたい焼きの如き密度であった。もう新作を入れる余地が無い。しかも風祭駅モジュールを去年はレイアウトの奥においていた。それをまた今年もやるハメになる。
事情がなければコンペに出せていたはずなのだがそうも行かなかった。これでは風祭駅モジュールが成仏できない!!
そうですわね……。でも風祭は高架線にいれなくてはならないけど、それには長さの余裕がありませんわ。
そこでN先生と面積の拡大について、相談したのである。
それが「自由環状線」として出展しワタクシたちの面積を拡大すると、「自由環状線」のブースがとんでもなく巨大になる。配置も難しくなるし、出展料も莫大になってしまう。N先生としてはおすすめできないとの話であった。
そうかもしれませんね……いろいろN先生の手を煩わせてしまっていたのは事実です。
そこでN先生から「独立ブースでやってみてはどうか」との話を賜ったのである!!
うーん。ほかの自由環状線のなかまと共有でやっていた電源などの料金かんがえると、独立ブースと同じぐらいか、独立したほうが少し安くなるかな。
非常に難しいことになった。独立するにしろしないにしろ、どちらにしろ出展費はかかる。
困りましたね……。正直、そこまでして出展するべきものかすら迷ってしまいますね。
そこで私が「ちょっとまったー!!」って言ったんです。
私の依り代、奇車製造が出費しよう、と思ったんです!
えええっ、奇車さんプレゼンツで出展するの? ヒドイっ!!
その分ワタクシが事務手続き手配関係がんばる、ということではどうか、となった。
でもはじめての独立出展。やばくないですか? ヒドイっ!
そこで我らが鉄研シリーズのアイディアのもととなったBトレ自動運転の追兎電鉄さんにも相談した。そしてコンサルティングと物品の支援を受けることとなった。
すごく助かりますね!! 追兎電鉄さんは昔Bトレ自動運転レイアウトで協力した関係だし、大ベテランさんですもんね!
これは著者撮影の2013年、追兎電鉄さんとの出展の様子の動画である!
すごいですよね。自動運転でヌルヌルとBトレが多数走る、小さくても圧巻のレイアウトでしたものね。
そこでワタクシは追兎電鉄さんと奇車製造さん、ミエくんの支援で、どこまで出展できるか考えたのだ。
右が去年。左が拡大した今年の予定レイアウトである。
まずこのときはワタクシは出先でノートPCで概略を考えていた段階。ゆえ、帰宅してJW-CADで製図し直したのである。
JW-CADだとjw-鉄道模型を使って線路配置をPC画面上でシミュレートできますもんね。JW-CADの使い勝手に癖はあるけど、便利だ。
めちゃめちゃ余裕あるじゃないですか! しかもなんですか、この北急ミュージアム建設予定地、って!!
それについては後に説明するとして。ともあれこのプランなら風祭駅も生きるし、今年だけでなく来年もまたこのプランをもとにさらに充実した出展が可能と思われるのだ。
でもN先生にはこうなるまでずいぶんお世話になりましたわ、わたくしたちもいつまでもN先生にご迷惑をかけ続けるわけにはいきません。ちょうどいい時だったのかもしれませんわね。
「自由環状線(北急電鉄・奇車製造線)」を予定しておる。自由環状線との関係は続けておきたいのだ。
さふなり。もともと「自由環状線(まぼろしライン)」はワタクシの提案であったからの。
また総裁の妄想力が発揮されちゃってたんですね。ヒドイっ。
ともあれ、資金面は奇車製造さんの支援に我が著者が全力で応えることで解決。
また前進基地の手配についても追兎電鉄さんが支援してくれる。
まさに3社ネットワークによる解決となりそうなのだ。
アツいですわ……窮地に友が参戦してくれる。まさにガールズアンドパンツァー映画の「学園十色」のようなシーンですわ。
ともあれこれで申請書も書きあげたのである。あとは送信してエントリーとなるのだ。
さふであるな。スタートラインにまた立ったのだ。
しかしすでに3月。搬入日まで残り144日なのだ。
でもこのプラン、余裕があるのはいいけど、スカスカにならないような工夫が必要ですね。
うむ、それでもゆくのだ。その顔を上げて、新しい風に心を洗うのだ。
総裁が手を上げ、みんなは円陣を組んでその手に手を合わせた。
そして、彼女たちの2019年の冒険が、実際に始まるのである。
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