第31話 最低時給の牢獄
文字数 3,032文字
著者はこの新しい仕事に関わることで、ようやく仕事というものの実感めいたものを感じたらしい。
これまでどんなに頑張っても最低時給でしか働けなかったからの。
初めてまともな仕事につけた。
そのことに、思わず涙しそうだったのだ。
とくに年金制度や公的補助を受けている人々を生きがいの仕事につけるやり方は、やりがい搾取の上にとんでもない労働力ダンピングになってしまう。
こんな状態ではみなが貧困にあえぐ羽目になるのは当然なり。
商業出版に戻れる可能性もゼロだ。
そして我々が世の中に残る可能性もゼロだ。
世の中には成功した作品があり、成功した作者がいる。
しかし、残念ながら、それは我々ではないのだ。