第47話 4ヶ月の迷走

文字数 2,231文字

その2020年年始の鉄道模型強化合宿、取材を兼ねた旅行の最中であった。


今年はJAMもない。かといって1年をただ安逸に過ごすのももったいない。


それゆえ、なにかプロジェクトを実施しようと著者は考えたのだ。

そういや、著者さん、バイト増やす作戦どうなったんですか?
うむ。去年6月に、非公開求人で6人中2人しか採用されない狭き門の末に採用された夜勤バイトに去年、2019年11月から邁進しておった。時給2240円という今どきにしては高待遇のバイトなり。
ええっ、どういう夜勤なんですか?
詳細は秘するのだが、在宅で行うリモートワークの夜勤なり。
ええと、いろんな情報が整理されないままですけど、整理しましょう。

まず夜勤バイト始めて、軍資金枯渇問題は解決したんですね。

さふなり。あれほど夜うなされるほど積み上がったカードの回数払残額がガンガン減り始めたのだ。銀行口座にもちゃんと残高が残るようになった。
よかったですね、って、今までどういう生活だったんですか。ひどいなあ。
そして、2020年の活動計画の軍資金もできた。2021年JAMに向けて鉄道模型工作の方針もミエくんとの企画で決まった。

それが小田急橋梁コレクション「橋これ」と、もう一つは秘密開発計画である。

「橋これ」、って、「艦これ」みたいじゃないですか。
さふなり。小田急の橋をどんどんモジュールで再現していくのが「橋これ」である。

橋のモジュールは見栄えもよく、その割に電装品も少なく設営が簡素化できそうなのであるのだ。

2019年JAMでの設営と撤収の手間を簡略化する作戦のひとつなのですわね。たしかに有効そうですわ。
でももう一つ、秘密開発計画ってなんですか? ヒドイっ。
以前、2018年に我が著者がとある発明で実用新案をとった話をしたと思う。
えっ、そんなことありましたっけ。
これだ。
うっ、ほんとに著者さんの名前が考案者のとこに書いてある、ヒドイっ。
ほんとに実用新案とっちゃったんですね!
だが、なんの意味もないのだ。


なにしろ、これをとったあとで、同じ形のものが存在していることが判明してしもうたからの。

どういうことですか!!
そのとおりなのだ。出願したのだが、同じものがすでにあったのだ。


だから、実用新案をとったところで、その相手と争うにはなんの力にもならない。


それが日本の実用新案制度の無審査主義なのだ。

それじゃ実用新案の制度の意味がないですよね……。
さふなり。無駄であった。出願事務の実際を学んだだけで終わった。
虚しくてヒドイっ。
この発明、自分で使うぶんにはとても便利でよいのだが、発明として主張することはできぬのだ。


だが、これとは別に、とある発明があるのだ。これはもっと別の、先行例のないものなのだ。

また無駄にしそうでヒドイっ!
そうかもしれぬ。しかし、チャレンジするつもりであるのだ。
大丈夫かなあ。
そういう2つの計画を思いながら迎えた2020年新春、また一つ思いついたのだ。
何を思いついたのー?
それは、この「鉄研でいず!」の新展開である。


NovelJamで知り合った黒色白蛇さんという方がおる。このかた、アニメ関連の業界に詳しく、またその制作の実際についても知見を持っておる。


そのことを、著者とワタクシはメキシコ料理をいただきながら思い出したのだ。


そして、思いついた。


この「鉄研でいず!」をボイスドラマにしてしまおう! それも自己資金で。

ひいい、自主制作ボイスドラマですって! ヒドイっ!
ワタクシもそんなこと、予算規模として個人では無理、と思うておった。


だが、こういうことの概算は、聞くだけならまだ手に負える。

そこで、じっさいやるなら予算規模はどれぐらいかとメッセンジャーで聴いたのだ。


その相手、黒色白蛇さんは、実はその時、DramaJamというイベントで奮闘中であったのだが。

わあああ! すごいメーワクかけちゃったじゃないですか!
さふなり。しかし、それで判明した。


ボイスドラマは、気合を入れれば個人で実現できる。

JAM国際鉄道模型コンベンション出展ぐらいの予算規模で可能なのだ。

えええっ。まじですか! ヒドイっ!!
マジであるのだ。しかも予算規模としては連続5話ぐらい行けそうなのだ。
ほんとうですか! ヒドスギル!
というわけで、その次の日には、声優さんたちとその所属プロダクションのワークショップ出席がアサインされたのだ。さすが黒色白蛇さん、有能なり。
てことは、まさか……。
さふなり。ゆえ、この鉄研でいず2020は、その3大事業、

 ・橋これ(小田急橋梁コレクション)

 ・ヒミツ発明

 ・鉄研ボイスドラマ

の3つの計画について縷々綴るものなり! んがぐぐ。

なんで最後昔のサザエさんの次回予告になってるんですか。今はじゃんけんですよ。
そこツッコむところかなあ……。
ともあれ、2020年の計画が1月3日にはもう動き出したのである!!


そして、そのとき、その帰りの常磐線特急『ひたち』の車内ニュースで見た、中国武漢での新型肺炎の流行が、のちにみんなの運命を逆落としにすることを、まだ知る由もなかったのである。

ひいいいい!
次回へ続く!!
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登場人物紹介

長原キラ ながはらキラ:エビコー鉄研の部長。みんなに『総裁』と呼ばれている。「さふである!」など口調がやたら特徴ある子。このエビコー鉄研を創部した張本人。『乙女のたしなみ・テツ道』を掲げて鉄道模型などテツ活動の充実に邁進中。


*総裁のびっくりヒミツ能力(順次公開)

・隠れオッドアイ。安いラノベのキャラだと思われたくないので視力は悪くないのにカラーコンタクトをはめて眼の色を合わせている。しかしこのオッドアイのその眼を見てしまうと自白させてしまう作用がある。あまりにも危険なのでそれを抑制するためにもカラーコンタクト。


 ほかにもまだまだあります。


葛城御波 かつらぎ みなみ:国語洞察力に優れたアイドル並み容姿の子。でも密かに変態。しかしイマジネーション能力は随一。


武者小路詩音 むしゃのこうじ しおん:鉄研内で、模型の腕は随一。高校入学が遅れたので、実は他のみんなより年上。鉄道・運輸工学教授の娘で、超癒し系の超お嬢様。模型テツとしての腕前も一級。

芦塚ツバメ あしづかツバメ:イラストと模型作りに優れた子。イラストの腕前は超高校級。「ヒドイっ」が口癖。

中川華子 なかがわ はなこ:鉄道趣味向けに特化した食堂『サハシ』の娘。写真撮影と料理が得意。バカにされるとすぐ反応してしまう。

鹿川カオル かぬか カオル:ダイヤ鉄。超頭脳明晰で、鉄道会社のダイヤをアルバイトで組んでしまうほどの『ダイヤ鉄』。プロ将棋棋士を目指し奨励会所属。王子と呼ばれるほどハンサムな女の子。電子回路やプログラミングが得意。


田島ミエ たじまみえ:総裁の古くからの友人。凄腕の模型テツ。鉄研のみんなと一緒に大洗などを旅行したものの、関西在住で滅多に会えない。なおかつその実像は不明。

小谷奈々 おたりなな


総裁の友人。凄腕のBトレ自動運転の模型鉄。地下アイドルをしているらしい。ウサミン星がどうとか言っていたが詳細不明。

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