第40話 JAM前夜祭ロマンスカー

文字数 2,843文字

JAM設営が終わろうとするころ、ワタクシは電子ギミックの試験を行っておった。だが、トラブルが発生しておった。

まず展示ムービー用iPadがディスプレイを認識しないのだ。

このムービーですよね。カスタムキャストで作った総裁と詩音ちゃんとツバメちゃんが出演して展示内容を説明するムービー。
これ、「きれいな総裁」って感じー。
うっ、そうなら普段のワタクシは「きたない総裁」なのか……。
今更そんなことで落ち込まないでください。ヒドイっ。
でもこれが上映できないのはもったいないのですわ。YouTubeであとで公開するとしても、JAM展示中に運転トラブルなどのとき、ご覧の方が退屈しないための工夫でもあるのですから。
さふであるのだ。それとともに、ワタクシはとある物を探しておった。たしかJITBOXに積載したと思うておったのだが、それが見つからぬ。
まさか、忘れ物ですか?
そうかもしれぬ。まして失くしてしまってはとても困るものなのだ。
なんでしょう。でもJAMで忘れ物失くし物はなかなか致命的なトラブルですよ。
マジですか。総裁またやらかしたんですか?
ワタクシもまさかと思いつつ、開梱設置作業を進めながら探しておった。
そんな状態だったんですか? 私、Tomyさんと設営してて気づかなかった。
内心ビビりまくりであった…。しかし、最後の運搬箱を開梱したとき、その不安が現実に代わった。


ワタクシは忘れ物をしたのだ。

ひいいい! ナニ忘れたんですか!! ヒドイっ!!
ここでこういうってことは、ごまかしの効かないものなんですよね……? なんだろう。
それは……。
怒らないから正直に言いなさい。
それは……。
正直に言いなさい。怒らないから。
踏切警報信号機……それも新宿踏切で点滅させるための。
こらー!!!
ナニとんでもない忘れ物してるんですか。

ヒドスギル!!

小田急線が新宿出てはじめの踏切が警報機もない4種踏切になっちゃいますよ!!

めちゃめちゃじゃないですか!!

なにやってるんですかー!!
間抜けは仕方がないとおっしゃる場合ではないですわ!!
うっ、うっ。怒らないって言ったではないか……。
それどころじゃないです。ヒドスギル!!
でもどーすんのー? このままじゃ絶対ダメだよー!!
かくなる上は模型用アートナイフで切腹、じゃなくて、急ぎ神奈川の拠点に戻って忘れたと思しき踏切警報機を探しに行くしかない!!
なにやってるんですかほんと。急がないと!!
というわけで神奈川へ急遽帰還し、明朝ビッグサイトへ再出撃することとした。
どうせだから私も一緒に行くことにしました!!
え、ミエさんもなんで?
だって総裁が心配ですから!!
そしてわれわれは夜のビックサイトを後にしたのだ。
こういうときこそ、平常心で行かないと危険ですね。
それでもワタクシはホッとしておった。その忘れ物とiPadの不調以外は無事設営できたのだ。

あとは最後のピースを埋めるだけだ。

そして取りに戻れる距離であることにも感謝しておった。

新宿に戻るとコレがいた。185系である。これはもうすぐなくなってしまうぞよ。
テツな観察できる余裕があれば大丈夫ですね。そういえば185系ってシングルアームパンタグラフに換装されてるんですね。
それどころじゃないです、ヒドイっ。
ミエくんとともに夕餉をロマンスカーホームの売店で購入、確保したロマンスカーに乗り込んで一旦神奈川へ帰投である。
そのロマンスカーの中で我が著者と奇車会社さんはこんなことをしておった。
ナニ酒盛りしてるんですか!! ヒドイっ!!
ノーお酒!! ぼくたちは未成年ー!!
でも著者さんと奇車さんは成年ですからしかたがないのですわ。でもこれはJAM搬入日に前夜祭になってしまいましたね。
大丈夫なんですかこんな余裕ぶっこいて。
うむ、しかしワタクシは幸せであったのだ。もうほぼJAM展示作戦の完遂を確信しておったからの。
早すぎないですかそれは。
でも搬入の危ないところは過ぎた。あとは忘れ物を見つけて明日JAM会場に輸送すれば大丈夫なのだ。
そういえばそうですけど……。
厚木に帰るともうバスは運転していない。タクシーを使うことにした。著者たちとのタクシーの中でワタクシとミエくんはコーフンしておった。そう、楽しいJAMがいよいよ始まるのだ。
たのしくならないわけがないですよね。これだと。
思いつめてはいたが、いよいよ去年から1年の努力が実るのが目に見えておるのだ。
いろんな事がありましたね……。
さふである。去年はJAM撤収の後ロマンスカーで宴をしようとして果たせなかったからのう。

ようやくその約束が果たせたのだ。

今年は余裕持って撤収したいですね。ほんと。
そして厚木の拠点に着いた。
案の定、踏切警報機は部屋に置き忘れておったのだった。無事見つかった。
紛失でなくてよかった、と安心しました。
なんでテプラまで打ってるのに忘れるんですか。マヌケだ……。
中身も無事であった。あとはこれをJAM会場に持ってゆくのみである。
不調のiPadは、コネクタ部分のひどい接触不良であることが判明した。ゆえ、代替としてノートPCでムービーを上演するのがヨイと判断したのである。
ヒドイっ。でも代替機あってよかったですね。
お風呂はいって準備して明日に備えて眠りました。
そして朝になった。
ええっ、現在時刻8:21って!!!
ゆっくり眠りすぎてしもうた!!!
なにやってるんですか!!!
寝坊なんてヒドスギル!!
ミエさんはどうしていたのでしょうか?
総裁ぐっすり眠ってたから、起こさなかったんです。
起こしてください!

むしろひっぱたいてもいいから起こしてください!!

もー!!
ダメすぎる。なに初っ端からポンコツやらかしてるんですか。
慌てて支度してビッグサイトへ向かうのだ!!
忘れ物忘れちゃダメですよー!!
それは確認したのだ。しかし厚木からビッグサイトまで1時間45分かかる。
開始の10:00に間に合わないじゃないですか!!
だがしかし!! その経路計算はりんかい線と新交通ゆりかもめの利用を前提としておる!!

この二つはビッグサイトまで遠回りしておるのだ。

そうか、新橋までトカホ線(東海道本線)でいってそこからタクシーで真っすぐ行けばショートカットできる。
まぁたタクシーですか!!
今はそれをためらってることは出来ぬ!! 新橋へ急いだのだ。
途中Tomyさんや追兎電鉄さんに連絡をしながら急行しました。
当たり前です!! ヒドイっ。
そしてビッグサイトに到着した!! すでにTomyさんと追兎電鉄さんが準備を進めてくれておった!!
助かりましたね! もつべきものは仲間ですね。
Tomyさんのマリンエクスプレスがすでに走り始めておった。これでオープニングである。いよいよJAM展示1日目が始まる!!
踏切警報機、無事セットアップできてますね。
最悪の事態は免れましたわね。
そして会場が開いた。JAM1日目が始まる。


いよいよ、始まったのだ!!

それで、どうなったんですかー?
それは!!
??
次回へ続くのである!!!
つづきます!!
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登場人物紹介

長原キラ ながはらキラ:エビコー鉄研の部長。みんなに『総裁』と呼ばれている。「さふである!」など口調がやたら特徴ある子。このエビコー鉄研を創部した張本人。『乙女のたしなみ・テツ道』を掲げて鉄道模型などテツ活動の充実に邁進中。


*総裁のびっくりヒミツ能力(順次公開)

・隠れオッドアイ。安いラノベのキャラだと思われたくないので視力は悪くないのにカラーコンタクトをはめて眼の色を合わせている。しかしこのオッドアイのその眼を見てしまうと自白させてしまう作用がある。あまりにも危険なのでそれを抑制するためにもカラーコンタクト。


 ほかにもまだまだあります。


葛城御波 かつらぎ みなみ:国語洞察力に優れたアイドル並み容姿の子。でも密かに変態。しかしイマジネーション能力は随一。


武者小路詩音 むしゃのこうじ しおん:鉄研内で、模型の腕は随一。高校入学が遅れたので、実は他のみんなより年上。鉄道・運輸工学教授の娘で、超癒し系の超お嬢様。模型テツとしての腕前も一級。

芦塚ツバメ あしづかツバメ:イラストと模型作りに優れた子。イラストの腕前は超高校級。「ヒドイっ」が口癖。

中川華子 なかがわ はなこ:鉄道趣味向けに特化した食堂『サハシ』の娘。写真撮影と料理が得意。バカにされるとすぐ反応してしまう。

鹿川カオル かぬか カオル:ダイヤ鉄。超頭脳明晰で、鉄道会社のダイヤをアルバイトで組んでしまうほどの『ダイヤ鉄』。プロ将棋棋士を目指し奨励会所属。王子と呼ばれるほどハンサムな女の子。電子回路やプログラミングが得意。


田島ミエ たじまみえ:総裁の古くからの友人。凄腕の模型テツ。鉄研のみんなと一緒に大洗などを旅行したものの、関西在住で滅多に会えない。なおかつその実像は不明。

小谷奈々 おたりなな


総裁の友人。凄腕のBトレ自動運転の模型鉄。地下アイドルをしているらしい。ウサミン星がどうとか言っていたが詳細不明。

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