第19話 ランキングなんかぶっ飛ばせ
文字数 3,188文字
どうにも追いやられた感じの部室であるが、それを部員たちはぬいぐるみを飾ったりソファを置いたり、テレビや電子レンジを置いてすっかり居心地の良い秘密基地にしてしまっている。
本棚には鉄道雑誌と鉄道模型誌のバックナンバーがずらりと揃っている。詩音のお父さんのものだったのだが借りてここに常備している。
そしてちり取りや掃除機といった備品には「屋外禁止 鉄研部室常備 チ1」と往年の貨車を模した表記が書かれている。
こちらも『目には目を』でエピソード細切れにしようかと。
しかし我々にはそんな事はできぬ。そもそも我々は話しすぎて毎回3000字近くになっておるからの。
それでは窮屈な話にならざるを得ぬぞよ。
外の初夏を思わせる暖かい空気が部室のスイング窓からふわりと吹き込む。
遠くには鳥の声。
昨今開発の進んだ海老名でも、このエビコー(海老名高校)はどこかのどかなままである。
ランキングが何だというのだ。さふいう姑息なランキングハックでランキング上位になれば確かに気持ち良いであろう。そしてランキングハックはここでは露骨に有効だ。
だが、それでいま上位にいたところでどうだ?
その人気は本物なのか?
ランキングハックで下駄をはいても、それからあとどうするのだ?
結局その作品の魅力も、どうやっても結局はランキングハックによるものにすぎないかもしれぬのだ。
それで楽しいか? 楽しいと言うならそれでよい。ますますハックに励めばよかろう。
だが、ワタクシは斯様なことに関心は持てないのだ!
冷静に使命を自覚し魅力を出すためにがんばっていれば、ランキングが伸びずとも、審美眼のある読者諸賢は読んでくれることはわかっておる。
その他になにか必要なことはあるだろうか? いや、全くないのだ!
事実この「鉄研でいず!」は冷静に見れば多くの読者諸賢を獲得できておる。
ランキングのような一時の閃光に惑わされてはならぬ。超然と牛のように押してゆくべきなのだ。
しかし、ここからは、ランキングはガン無視するのだ。
ランキングに出ない魅力に気付けない読者には期待しない。しても仕方がないのだ。
木鶏のように黙々と、理解してくれる、今いる大切なわが読者諸賢を信じてゆくのみなのである!
単なる関心と注目ではなく、評価と信頼を確かにしていくことのほうが大事であり、優先事項なり。
それゆえ、我々はまどうことなく、われらの『乙女のたしなみ・テツ道』を邁進するのみであるのだ。