第57話 「ル・トラン」の旅

文字数 2,576文字

待っていたのはこれであるのだ。
えっ、これは客車の車窓みたいだけど、外はさっきの美術館の庭園? どういうことですか?
これは! 往年のオリエントエクスプレスのロビーカー、プルマンカーの車内ですわね!

ここでお茶をいただけるのですか!!

さふなり。このラリック美術館にはプルマンカーが1両、屋内に保存され、「ル・トラン」という名で当日予約入れ替え制で、オリエントエクスプレスの動画鑑賞後に車内で実際にお茶菓子を交えてお茶をいただくサービスが実施されておる。引退した鉄道車両の保存運営というところで実に興味深いぞ。
ちゃんとテツ要素入れてきますね。『え、総裁が宝飾の美術館?』って思ったけど、やっぱり。ほんと総裁らしいなあ。
うぬう、御波くん、それはすこしワタクシをdisっておる気がしてきたぞよ……。
え、あははは、それは気のせいですよ! それよりこのラリック美術館になんでプルマンカーなんですか?
うむ。このプルマンカーの内装にはラリックの作ったガラス宝飾が多用されておるのだ。それが所以なり。
今でいうと水戸岡先生デザインの車両の内装にたくさんの美術工芸を使っています。これはそれの源流ですわね。
まさしくそう思われるのだ。
シフォンケーキとハーブティーを頂いたのである。
おいしそうだなー。さすがー。
車内の観察も実施したのである。
ちょっとまって! 電書ちゃんと雫さんをまたおいてけぼりにしてない!?
雫さんはテツ分ある方なのでウケていたぞ。
ってことは、電書ちゃんは置いてけぼりになっちゃったのね……電書ちゃん可哀想に……。
恐縮なり。
ここは恐縮するところではありませんわ。
喫食が終わり、その後は車外に出て記念撮影タイムなのである。
この台車はとこからきたものなのであろうか。日本国内を走ったオリエントエクスプレス’88のときのものなのであろうか……。イコライザのアーチが白く塗られておるのがまた実に優雅なり。
フランス語はわからぬ。でもこういう表記が読めたらもっと楽しいであろうなと思うのだ。
このジャンパ栓は電源供給用なのであろうか、わからぬのだが…。著者も以前ここに来ておったのだが、二度目でもまだまだ観察に発見があるらしいぞ。
ここまでやるとさすがの雫さんでも置いてけぼりよね……もー。ホント総裁ったら。
記念撮影を終えて、展示室を出るところにこんなものがあった。
まあ、これはオルゴールですわね!
特に説明もなく置いてあったのだが、これにも興味を持ったのである。
で、これであとは帰るんですか?
うむ、ここからバスで箱根湯本を目指して移動、その途中で日帰り温泉に立ち寄って湯治もしようとおもいけるのだ。
まさに箱根大満喫ツアーですわね!
しかし!!そうはいかなかったのだ。
ええっ。
乗った帰りのバスが、マイカーの大渋滞に飲まれたのである。
そりゃそうですよ! ロープウェイからものすごい渋滞を見てたじゃないですか!
バスの運転士さんも、途中で登山電車に乗り換えることを車内放送ですすめるほどであった!
力強く言ってもダメです!!
それに。
予定していた温泉を変更、経路の途中の温泉に変更しようと思ったら、混雑グラフがこうなっていたのである!!
ひいい! めちゃくちゃ混雑してる! というかこんなグラフ見たことないですよ!
まさに絶望的な状態である。温泉はスキップして、このまま箱根湯本に向かい、そこで夕餉を頂いて帰還しようと転進、計画変更である。
箱根湯本についた。ところが、夕餉をいただこうと思っていたお店がことごとく18時で閉店。湯元についたのが18時7分。もう夕餉にありつくことさえ絶望的であった。開いている店は温泉ホテルや温泉旅館ばかり。宿泊しなければ利用できないところである。
箱根湯本死の彷徨じゃないですか!
かくなる上は箱根での飲食は諦めて小田原に出て、そこの駅そばで夕餉して撤退しようかとまで覚悟した。飲食店が感染防止で18時クローズに営業短縮されておったのはまさに想定外であった!
そんななか、温泉街の通りにうまそうな煙を流して孤軍奮闘で営業している居酒屋さんがあったのだ。
ほんとですか!
ここで夕餉にすることとした。ちょっと入店待ちの列があったのだが、
店外待機の椅子からは調理の焼き場の焼き方さんの素晴らしい仕事ぶりがよく見えて、実にそそるのである!
お肉分厚い! 美味しそうだなあ!
お魚の干物も分厚くて油がよく乗っているのがわかって期待が盛り上がりますわねえ。
もうほかに選択肢はなかった。期待して裏切られたら、と思っておったが、これでは期待せざるを得ぬ!
程なくして入店。空腹でメニューを見るのである。
観光地価格と思えばこんなものかもしれないわね。ヒドイっ。
直ぐに注文である。電書ちゃんたちとワタクシは未成年ゆえお酒は飲まぬ。著者にビールを許可したのだが、まず食べることが優先である。
そして厚焼き豆腐が今日の先頭打者である。
どうでした!?
先頭打者ホームランであった。実にうまい!
つづいて干物などが来る。
肉も来る。
肉寿司も来るのだ。
すごい……見るからに素晴らしく美味しそうですね。まさに豪遊ですね。
頂いたら実に美味であった。サバみりんなど最高のできであった。これはご飯が実にススムのである! というかこれはご飯でないともったいない。電書ちゃんも「優勝!」と叫んでしまうほどの美味であった!
まさに逆転優勝でしたわねえ。
一時は完全に諦めたので、まさに喜びもひとしおであった。
孤軍奮闘であったが、実に救いの神となってくれた店であった。千尋の感謝を送りつつ、帰宅のロマンスカーに乗るのである。
まさにごちそうさまでしたわね。
帰りの列車もこれであった。
旅が終わりますね……。
かねてより約束の箱根女子会、これにて完遂なのである!
斯様なイラストを描いておった。これにて〆である。
素敵な女子会になりましたわねえ。
うむ。こんなことをしながら、模型鉄活動もまた進んでいたのである。それについてはまた改めて記すぞ。
つづきます。
***CM***

「鉄研でいず!」ボイスドラマ、2話と3話も公開中です。見てね!


こうしてCMしつこくするのも、アクセス解析の結果がイマイチでぐぐぐぐぐ。
もー! そんなことおおっぴらに言っちゃだめです! ヒドイっ!!
***CMおわり***


引き続き、チャットノベル「鉄研でいず!」もお楽しみ下さい。


では。

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登場人物紹介

長原キラ ながはらキラ:エビコー鉄研の部長。みんなに『総裁』と呼ばれている。「さふである!」など口調がやたら特徴ある子。このエビコー鉄研を創部した張本人。『乙女のたしなみ・テツ道』を掲げて鉄道模型などテツ活動の充実に邁進中。


*総裁のびっくりヒミツ能力(順次公開)

・隠れオッドアイ。安いラノベのキャラだと思われたくないので視力は悪くないのにカラーコンタクトをはめて眼の色を合わせている。しかしこのオッドアイのその眼を見てしまうと自白させてしまう作用がある。あまりにも危険なのでそれを抑制するためにもカラーコンタクト。


 ほかにもまだまだあります。


葛城御波 かつらぎ みなみ:国語洞察力に優れたアイドル並み容姿の子。でも密かに変態。しかしイマジネーション能力は随一。


武者小路詩音 むしゃのこうじ しおん:鉄研内で、模型の腕は随一。高校入学が遅れたので、実は他のみんなより年上。鉄道・運輸工学教授の娘で、超癒し系の超お嬢様。模型テツとしての腕前も一級。

芦塚ツバメ あしづかツバメ:イラストと模型作りに優れた子。イラストの腕前は超高校級。「ヒドイっ」が口癖。

中川華子 なかがわ はなこ:鉄道趣味向けに特化した食堂『サハシ』の娘。写真撮影と料理が得意。バカにされるとすぐ反応してしまう。

鹿川カオル かぬか カオル:ダイヤ鉄。超頭脳明晰で、鉄道会社のダイヤをアルバイトで組んでしまうほどの『ダイヤ鉄』。プロ将棋棋士を目指し奨励会所属。王子と呼ばれるほどハンサムな女の子。電子回路やプログラミングが得意。


田島ミエ たじまみえ:総裁の古くからの友人。凄腕の模型テツ。鉄研のみんなと一緒に大洗などを旅行したものの、関西在住で滅多に会えない。なおかつその実像は不明。

小谷奈々 おたりなな


総裁の友人。凄腕のBトレ自動運転の模型鉄。地下アイドルをしているらしい。ウサミン星がどうとか言っていたが詳細不明。

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