第59話
文字数 466文字
実は、その理由については順子自身もハッキリとは解っていないのだが、それでも彼女の動物的な勘が竹原を必要としている様だった。
そんな為か、順子が広告代理店を退社し、自ら㈱プラニング・ミューを起業した時、竹原は自らの意思で後を追う様に会社を同じ様に退社し、順子の起こした㈱プラニング・ミューに半ば押しかける形で転職したのだった。
その決意を順子に打ち明けた時に、「バカだね。共倒れするかもしれないのに」と順子はいつもの強気で素っ気ない言葉を口にしたのだが。その表情は明らかに嬉しそうに竹原には見えた。
そして、こう思ったのだった。
(この人について行こう)
広告代理店時代を含めると、はや、八年近くもコンビを組んでいる。今では桜田順子と云うイベンターとしての才能はもちろんだが人間性についても誰よりも熟知していると自負している。
そしてそれが竹原の自慢でありモチベーションだったりするのだ。ある意味、ちょっとした桜田順子フリークと言えなくもない。