第80話
文字数 514文字
この日は、風雲急を告げるかのような空模様とステージデザインのおかげで、まるで戦国時代にタイムスリップしたかのような空気感の中、ある種の興奮状態だったりする。
それは、このイベントを彼女が客観的に捉えられずに主観的と云うか、今までに感じたことのない感情で捉えている事が大きな原因だと言える。
そして、そこの所は順子も薄々感じているのだが、どうしても、このイベントにのめり込んでしまった高ぶる気持ちを制御出来ずにいて困惑すらしているのだ。
そんなこんなの精神状態に陥っている順子なのだが、案外、それらを楽しんでいたりもしている。
初めての経験・・感情・・そして緊張感。
(・・まぁ、制御出来ないなら出来ないで仕方ないわ。この感覚を楽しもう。後は天気かな。
自然にだけは敵わないから何とかもって欲しい。頼むぞ!竹山特製てるてる坊主くん)
と、昨日竹山が手作りして音響ブーステントに吊るしたてるてる坊主に目をやった。
そんな本番まで二時間ほどに迫ったステージ前に佇んでいる順子の姿は、まるで傍から観ると戦国武将そのものに映っているかも、だったりする。