第52話
文字数 396文字
竹田は少しばかりイラつきつつ、二日前の会議での出来事を振り返っていた。
その柔和な表情の主・大川はあの日、順子や自分たちの提案を結局は断ったのだった。
余りに大川の態度がいつもと違っていた為か、その場に居合わせた面々はキツネさんにつままれ
た様に唖然となり黙りこくってしまい、そのまま会議は終了となったのだった。
その後、大川の秘事を共有している林田に竹田、そして順子に竹原らが話し合った結果、この件
は竹田に一任することに決まったのだが、実はそれは珍しく竹田からの提案・要望だった。
いつもなら大川との交渉事などは逃げ腰になる竹田なのだが。この件だけは自分が大川と向き
合わなければと考えたのだ。
否、自分でなければいけないという強い想いすら感じたと言える。
そして本日、行きつけの居酒屋に大川を呼び出した竹田は様々な想いを胸に秘め大川の到着
を待って居た。