第74話
文字数 676文字
そして暫しの沈黙の後、真弓はそれまでとは打って変わった穏やかな口調で、「解った。あんたが腹括ったんなら、私も腹括ろう。エエか、決して後悔したらアカンで。それに泣き言も許さへんし誰にも迷惑を掛けたらアカン。その代わり全力でサポートしたるさかい、千姫さんと、ちゃんと向きおうてシッカリお別れ出来る様に気張るんやで。エエな」。「はい」
この母と娘のやり取りは決して忘れることはないだろうと順子はその時感じた。
その後、真弓が順子や林田に竹原、そして竹田に深く頭を下げ、樹里の続投を懇願した姿はまるで映画のワンシーンの様に記憶に残っている。
そんな光景を思い出しつつ順子は、
(あの光景って、今時余り見かけない親子の関係性だったな。この町ならではか・・
やはりケッタイな町だけど、何だろう嫌いではないな。しかし、念の為のWキャスト案は良しとして・・それが何で、よりによって姐さんなの?)
そう、真弓はその折に対策の一環としてWキャスト案を提案し、その役割を自身が行うと提案したのだった。
その瞬間、順子は、(エッ?)となり。
林田は、(そうなるんや)。
竹原は、(何が起きてるのかな??)と思考が錯乱し始め。武は、(やっぱり・・)。
そして竹田は、(どないやねん?)となり。
そしてそして樹里は、(そう来たか)と、それぞれが感じ呆然としたことは言うまでもない。