第3話
文字数 539文字
藤井寺市役所からスマホを片手に話しながら出てくる竹田の姿が・・。
「やりましたよ林田さん。遂に役所もその気になったみたいで来年度予算に計上してくれると言うてくれましたわ。エエ、ようやく動き出しましたでぇ。これから忙しくなりまっせぇ。でも何かこう、ワクワクしますねぇ」
などと話しながら、満面の笑みを浮かべ軽やかな足取りで駐車場へ向かっている。
そして、林田との会話も終わり駐車場に入り車のドアを開けようとしたが、何を思ったのかドアを開けるのを思い留まり余韻を楽しむかの様にポケットからたばこを取り出すと火をつけ一服しだした。
(ようやくやなぁ・・あの玉手橋を眺めながら林田さんから、「この町の特徴を生かした。オリジナリティー溢れた祭りをこしらえてみんか・・」と、言われて一年かぁ・・しかしあの林田さんが、そんな発想を持っていたとはなぁ。正直驚いたわ。保守的と言うか手堅いと言うか。ジャズにしか興味がないとばかり思ってたんやけどな・・長い付き合いやけど、人って解らんもんやなぁ・・)
などと、たばこをふかして遠くを見つめている竹田の姿は、まるでテレビドラマに登場する中年刑事が事件解決後に見せる姿そのものだったりする。そして、やっぱりこの町に溶け込んでいたりするのだ。