第54話
文字数 569文字
いつもの順子ならそこまで深く知る必要は感じないのだが。どうしたワケか、この現場ではそこも含めて知りたいと考えてしまう。
順子は、そんな今までには無かった自身の思考回路に戸惑うと同時に、(少し距離感を詰め過
ぎてるかも)とも考えるが、それでも、そこを含めて知りたいと考えてしまう。
(それにしても、あのオッサンたちはあんなに楽しそうに・・知らない人が見たら大の大人が他愛もないことで喧嘩して口論してるとしか見えないヨネ。本当にこの町というか、このイベントで関わる人たちは、くせ者で、ケッタイな人ばかりだわ)等と考え少し頬が緩んでしまう順子の耳に突然、「相も変わらずジャレ合(お)うてますなぁ」と林田の声が。驚く順子の横にいつの間にか林田と反対側には北畠宮司がケッタイなオッサンたちを同じ様に見詰めていた。
(あなたたちは忍者ですか?)
と思いつつも、「そ・そうですね」と応えながら順子は、(この二人も掴みどころが無いクセ者だし)と考えてしまう。そして、
「それにしても、知らない人が見たら怒鳴り合いのイザコザにしか見えないですよねぇ」と話を振ってみた。すると林田が、「ここら辺では見慣れてるんとちゃいますか?」と答える。
(やっぱり・・)と順子は思った。