第13話

文字数 323文字

「おかえり。」
「お邪魔してます。」

そんな言葉が同時に発せられた。
その時、私は彼女の帰る場所を奪ってしまったのだと初めて思い当たった。

その言葉より先は、母が代弁した。
「悪いけど、しばらくこの子もここに住まわせてもらえないかな。」
と、悲しげに言った。

自分から出ていったでしょ、とか、今まで好きにしてきたのに何言ってるんだとかそんな言葉がこみ上げてきていたけれど、一瞬でそれらは私の中に還っていった。

彼女が初見で身籠だとわかる状態だった。
そして、母が代弁するにそのせいでお腹の子の父親はどこかへ消え、3ヶ月前には働くこともままならなくなり、家賃等を滞納して出ていったほしいと言われたそうだ。

そして、彼女は母を頼りそして母は仕方なくここに連れてきたのだ。

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