第21話

文字数 356文字

そんなところから少しずつ色んなきしみが出てきていたのかもしれない。

そのバランスの悪さから大病から回復したばかりの母に少しずつストレスになっていたのだろう。

自分に何かあったら、私達姉妹のバランスが悪くなるのでは、と。

その母の心配は当たっていた。
そしてそれが母の体を静かに蝕んだ。

甥が小学校に上がった頃から妹は、私にわざと聞かせるように、甥がもう少し大きくなったら、ここから出ると言い出した。

妹は一度言い出すときかないので、私は放置気味だったが、母はとても心配していたのだ。

妹は手始めに、甥に料理を少しずつ仕込みだした。
最初はレトルトを温めたり、カップ麺を一人で作らせたりした。

お風呂も一人で入れるようになり、包丁が少し使えるようになり、留守番が出来るようになってきたのもこの頃だ。

次第に、できることが増えていった。

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