第5話

文字数 242文字

仕事脳な私は、今抱えている案件を考えることで、帰路の意識をなんとか保ちながら車窓に流れ行く風景を眺め、母のことを思いだしていた。

妹には当時を詰(なじ)られるより呆れてくれたほうが、気が楽になれるような気がした。

着いたのは見慣れた自分の家だった。

きちんと自宅を示せたらしい。

運転手にお札を出し
「お釣りはいいです。」
と受け取らずに降りることで、さっきの深刻なことがなかったことになればいいのに、と思いながらウチに入る。

靴を脱いで上がろうとすると、学校へ行っていたはずの甥が帰ってきていた。

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